AliExpress（アリエクスプレス）は、低コストで初心者でもすぐ始められる中国輸入の定番プラットフォームです。
しかし実際には、商品選び・サプライヤーの信頼性・規制対応・コスト計算など、押さえるべきポイントを知らないまま進めると失敗につながるケースも少なくありません。
本記事では、初めての仕入れでも迷わず進められる「成功の手順」だけを体系化し、商品選定から日本販売まで必要なポイントを実務目線で分かりやすく解説します。
今日からリスクを抑えて中国輸入を始めたい方に最適なガイドです。
AliExpressとは？初心者が知るべき基本ポイント
AliExpressの主な特徴
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 商品カテゴリー | 数百万点以上。電子機器〜アパレルまで幅広い |
| 価格 | 工場直販で低価格。小ロットでも仕入れ可 |
| 配送 | 国際配送に対応。追跡サービスあり |
| 対応言語 | 日本語 UI を含む多言語対応 |
まとめ：AliExpressは「小ロット・低コスト」で初心者でも始めやすい中国輸入の定番プラットフォームです。
日本の物販ビジネスにおけるメリット
日本企業がAliExpressを利用するメリットは多岐にわたります：
AliExpress活用のメリット
- コスト削減：中間業者を介さないため、仕入れコストを大幅に削減できます
- 商品多様性：数百万種類の商品から選択可能で、ニッチ市場向け商品も見つけやすい
- 市場テスト：少量発注が可能なため、新商品の市場テストを低リスクで実施できる
- 直接取引：サプライヤーと直接コミュニケーションが取れるため、カスタマイズ商品の発注も可能
注意すべき課題
品質管理：実物を見ずに購入するリスクがある
言語の壁：英語や中国語でのコミュニケーションが必要な場合がある
配送時間：国際配送のため納期が長くなる場合がある
知的財産権：模倣品や権利侵害商品のリスク
日本市場の現状と展望
近年、日本では越境ECの利用が急速に拡大しています。経済産業省の調査によると、日本の越境EC市場規模は 2022 年に約 3 兆円に達し、今後も年率 10%以上で成長すると予測されています。
AliExpress仕入れを始める前の準備
アカウント作成と基本設定
AliExpressでの仕入れを始めるには、まずビジネスアカウントの作成が必要です：
アカウント作成手順
- AliExpressの公式サイトにアクセス
- 右上の「登録」ボタンをクリック
- メールアドレスまたは電話番号で登録
- 個人情報と配送先住所を設定
- 支払い方法の登録（クレジットカード、PayPalなど）
アカウント設定では、言語を日本語に、通貨を日本円に設定しておくと便利です。また、ビジネス用途であることを明記しておくと、サプライヤーとの交渉がスムーズになることがあります。
市場調査で確認すべき3つのポイント
- 需要（トレンド）：検索傾向・季節性を確認
- 利益率：仕入れ価格 + 送料 + 関税 + 手数料を含めた総額で判断
- 競合状況：Amazon・メルカリの価格帯やレビューを比較
注意：仕入れ価格が安くても “送料＋関税” を含めると赤字になるケースが多いため、必ず総コストで利益を確認してください。
おすすめ市場調査ツール
以下のツールを活用すると、効率的に市場調査が行えます：
- Google Trends：検索トレンドの分析
- Keepa：Amazonの価格推移チェック
- Jungle Scout：市場規模や競合分析
- AliExpress Dropshipping Center：人気商品の発見
市場調査の重要性
市場調査は「需要・利益・競合」の3点を押さえるだけで十分です。
初心者は複雑な分析よりも、売れている商品と利益が出る価格帯を把握することが優先。
詳細な市場分析は後回しにして、まずは小ロットでテストできる商品を選びましょう。
サプライヤー選定の基本（3つの判断軸）
サプライヤーの信頼度は 評価・実績・返信速度 の3つで判断できます。
極端に安い商品は品質リスクが高く、レビュー内容の確認が必須です。
最終判断は、実際に問い合わせを行い “対応の誠実さ” を確認するのが最も確実です。
日本語対応しているサプライヤーを選ぶと、コミュニケーションがスムーズになりますが、英語や中国語でのやり取りが必要な場合は、翻訳ツールの活用や専門の代行サービスの利用も検討しましょう。
テスト仕入れの手順
テスト仕入れの目的と効果
大量発注の前にテスト仕入れを行うことは、リスク軽減のために非常に重要です：
- 商品品質の確認：実際の商品が写真や説明と一致しているか
- サプライヤーの信頼性評価：納期遵守、コミュニケーション対応など
- 市場反応のテスト：少量販売して顧客の反応を確認
- 物流プロセスの把握：配送時間、梱包状態、通関手続きの確認
テスト仕入れは初期投資として考えるべきであり、失敗を防ぐための保険と捉えることが大切です。
成功事例：電子製品の仕入れ
ある事業者が電子製品を少量テスト仕入れし、品質・梱包・納期を丁寧に確認した上で日本向け仕様を追加調整したところ、販売反応が良く本発注につながりました。
成功した理由
- テスト仕入れでリスクを事前に把握
- 日本の安全基準（PSE等）を事前確認
- サプライヤーと段階的に条件調整
教訓
段階的な小ロット検証が、失敗を防ぐ最も確実な方法です。
失敗事例：アパレル商品のサイズ違い
欧米サイズのままアパレル商品を仕入れたため、日本の顧客に合わず返品が増加。素材や色味も実物と異なり評価が悪化しました。
失敗の原因
- サイズ基準の確認不足
- 素材・色味の実物チェックをしなかった
- 日本市場の体型・嗜好を考慮していない
教訓
アパレルは「サイズ・素材・色の実物チェック」が必須で、画像だけで判断すると高確率で失敗します。
テスト仕入れのチェックリスト
効果的なテスト仕入れのために、以下のチェックリストを活用しましょう：
テスト仕入れチェックリスト
- サプライヤーとの事前コミュニケーション（納期、梱包方法、返品ポリシーなど）
- 少量発注（通常3〜5個程度）
- 商品到着後の品質チェック（材質、機能、安全性など）
- 日本の規制・基準との適合性確認
- 小規模な市場テスト販売
- 顧客フィードバックの収集と分析
- 改善点の特定とサプライヤーへのフィードバック
日本で販売するには、PSE・電波法・薬機法・食品衛生法など、商品ごとに異なる規制対応が必要です。 AliExpressの商品説明では判断できない場合も多いため、「日本で合法的に販売できるか」を必ず最初に確認してください。
本発注と物流管理
価格交渉のポイント
テスト仕入れの結果が良好であれば、次は本格的な発注に進みます：
- 数量割引：発注量に応じた割引交渉
- 支払い条件：前払い割引や分割払いなどの条件交渉
- 独占契約：特定地域での独占販売権の交渉
- カスタマイズ：パッケージや製品仕様のカスタマイズ交渉
- 長期契約：安定供給と価格保証のための長期契約
交渉の際は、具体的な数字と条件を明確に提示し、書面での確認を忘れないようにしましょう。また、中国の祝日（春節など）を避けた発注計画も重要です。
交渉のコツ：中国のビジネス文化では関係構築（グアンシー）が重要です。短期的な価格交渉だけでなく、長期的なパートナーシップを視野に入れた交渉を心がけましょう。
配送方法の選び方（費用 × 納期 × トラブルリスク）
AliExpressでは複数の配送方法が提供されており、コストと納期のバランスを考慮して選択します：
| 配送方法 | 配送期間 | コスト | 追跡 | 適した商品 |
| AliExpress Standard Shipping | 15-30日 | 中 | あり | 一般的な商品 |
| ePacket | 10-20日 | 中 | あり | 小型・軽量商品 |
| EMS | 5-10日 | 高 | あり | 急ぎの商品 |
| 海上輸送 | 30-60日 | 低 | 限定的 | 大量・重量物 |
日本向け発送の場合、通関手続きの簡素化のため、インボイス価格が16,666円以下になるよう分割発送を検討することも一つの戦略です。
通関と関税の基礎（初心者向けまとめ）
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 必要書類 | インボイス / パッキングリスト / 原産地情報 |
| 課税価格 | 商品 + 送料 + 保険料（CIF価格） |
| 簡易通関 | 20万円以下の輸入は簡易通関が適用 |
在庫管理と需要予測
効率的な在庫管理は利益を左右する重要な要素です：
- 適正在庫レベルの設定：過剰在庫と品切れのバランス
- 需要予測：過去の販売データ、季節性、市場トレンドに基づく予測
- 発注点管理：在庫が一定レベルに達したら自動的に発注するシステム
- 安全在庫：予期せぬ需要増加や配送遅延に備えた余裕在庫
- 在庫回転率の最適化：商品カテゴリーごとの適切な回転率設定
特に季節商品や流行商品は需要予測が難しいため、小ロットでの頻繁な発注が安全な戦略となることがあります。
日本市場での販売戦略
販売チャネルの選択と活用
仕入れた商品の販売チャネルは、ビジネスモデルに合わせて選択します：
主要販売チャネル
- ECプラットフォーム：Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピングなど
- 自社ECサイト：Shopify、BASE、カラーミーショップなどを活用
- 実店舗：ポップアップストアや既存小売店での販売
- SNS販売：Instagram、FacebookなどのSNSを活用した直接販売
- BtoB販売：他の小売業者への卸売り
各チャネルの課題
- ECプラットフォーム：手数料が高く、競争が激しい
- 自社ECサイト：集客に時間とコストがかかる
- 実店舗：固定費が高く、在庫リスクが大きい
- SNS販売：継続的なコンテンツ作成が必要
- BtoB販売：大量発注に対応する在庫確保が必要
各チャネルの特性（手数料、顧客層、運営の複雑さなど）を理解し、最適な組み合わせを見つけることが重要です。
価格設定と利益計算
適切な価格設定は、利益確保と市場競争力のバランスが鍵となります：
価格設定の基本式
販売価格 = 仕入れ価格 + 送料 + 関税・消費税 + 販売手数料 + 運営コスト + 利益
- コスト計算：仕入れ価格、送料、関税、手数料などすべてのコストを考慮
- 競合分析：同様の商品の市場価格をベンチマーク
- 価値ベース価格設定：商品の独自性や付加価値に基づく価格設定
- 心理的価格設定：999円など、心理的に受け入れられやすい価格設定
- 価格差別化：販売チャネルや顧客セグメントに応じた価格設定
日本市場では品質と信頼性が重視されるため、単に最安値を目指すのではなく、品質に見合った適正価格設定が重要です。
以下の見積もり計算機を使えば、初心者でも簡単にシミュレーションできます。
マーケティングと商品差別化
競争の激しい市場で成功するためには、効果的なマーケティングと差別化が必須です：
- 商品の現地化：日本市場向けのパッケージや説明書の作成
- ストーリーテリング：商品の背景や特徴を魅力的に伝える
- 高品質な商品画像と説明：詳細で正確な商品情報の提供
- SNSマーケティング：Instagram、Twitter、TikTokなどを活用した認知拡大
- インフルエンサー連携：関連分野のインフルエンサーとのコラボレーション
差別化のポイント：中国製品に対する品質への懸念を払拭するため、品質保証や丁寧なアフターサービスを強調することが効果的です。また、日本市場特有のニーズに合わせたカスタマイズや付加価値の提供も差別化につながります。
顧客サポートと返品対応
日本市場では高品質な顧客サービスが期待されています：
- 迅速な問い合わせ対応：メール、チャット、電話などでの丁寧な対応
- 詳細な商品情報提供：サイズ、素材、使用方法などの詳細情報
- 明確な返品・交換ポリシー：条件と手続きの透明性
- アフターサービス：保証期間や修理対応の明確化
- 顧客フィードバックの活用：商品改善や新商品開発への反映
特に海外製品の場合、不安を感じる顧客も多いため、手厚いサポート体制が信頼構築につながります。
トラブル回避とリスク管理
品質問題への対処法
品質問題は海外仕入れの最大のリスクの一つです：
- 事前品質管理：テスト仕入れでの徹底した品質チェック
- 品質基準の明確化：サプライヤーとの間で品質基準を文書化
- 検品サービスの活用：第三者検品サービスの利用
- 段階的な発注：品質が安定するまで小ロットでの発注を継続
- 複数サプライヤーの確保：リスク分散のため複数の調達先を持つ
問題発生時には、証拠（写真や動画）を集め、サプライヤーと冷静に交渉することが重要です。
配送遅延とトラブル対応
国際配送では遅延やトラブルが発生することがあります：
- 余裕のある納期設定：季節商品などは特に余裕を持ったスケジュール設定
- 追跡システムの活用：配送状況の定期的な確認
- 代替配送方法の確保：緊急時に備えた代替手段の準備
- 顧客への適切な情報提供：遅延が予想される場合の事前連絡
- 保険の活用：高額商品には配送保険の付保を検討
注意点：特に中国の祝日期間（春節など）は大幅な遅延が生じる可能性があるため、事前計画が重要です。春節前の最終発送日と春節後の業務再開日を確認しておきましょう。
支払いトラブルと詐欺防止
安全な取引のために以下の対策を講じましょう：
- AliExpressの買い手保護制度の理解と活用
- エスクローサービスの利用：商品確認後に支払いが完了するシステム
- 段階的な支払い：大口注文の場合、一部前払いと残額後払いの交渉
- 正規サプライヤーの確認：公式認証や評価システムの確認
- 不自然な安さへの警戒：市場価格と大きく乖離する場合は注意
トラブル発生時には、AliExpressの紛争解決システムを活用し、証拠を整理して申し立てを行います。
知的財産権と法的問題
模倣品や知的財産権侵害のリスクも考慮する必要があります：
- 商品の合法性確認：特許、商標、著作権侵害がないか確認
- 契約書の作成：権利関係や責任の所在を明確にした契約書
- 法的アドバイスの取得：必要に応じて専門家に相談
- ブランド保護：自社ブランドの場合、商標登録などの保護措置
スケールアップ戦略
サプライヤーとの関係強化
長期的な成功のためには、サプライヤーとの良好な関係構築が重要です：
- 定期的なコミュニケーション：メールや電話での定期的な連絡
- 現地訪問：可能であれば工場や事務所への訪問
- 長期契約の締結：安定した発注量の保証と価格条件の固定
- 共同開発：市場ニーズに基づく商品の共同開発
- 相互理解：文化や商習慣の違いを理解し尊重する姿勢
特に中国ビジネスでは、人間関係（関係＝グアンシー）が重視されるため、信頼関係の構築が取引条件の改善につながることがあります。
商品ラインの拡大戦略
ビジネス成長のためには、商品ラインの戦略的拡大が効果的です：
商品ライン拡大の方向性
- 垂直拡大：既存商品の関連アイテム（アクセサリーなど）への展開
- 水平拡大：類似ターゲット向けの異なるカテゴリーへの展開
- プライベートブランド化：OEM/ODMによる独自ブランド商品の開発
- 季節商品の導入：年間を通じた安定した売上のための季節商品ラインナップ
- 高利益率商品の特定と注力：利益率の高い商品カテゴリーの強化
商品ラインの拡大は、既存の成功商品からの学びを活かしながら、段階的に進めることが重要です。
物流と在庫管理の最適化
事業規模の拡大に伴い、物流システムの最適化が必要になります：
- 倉庫管理システム（WMS）の導入：在庫管理の自動化と効率化
- フルフィルメントサービスの活用：Amazon FBAなどの外部サービス利用
- 複数倉庫戦略：地理的に分散した倉庫による配送時間短縮
- 需要予測の高度化：AIや機械学習を活用した精度の高い予測
- ジャストインタイム方式：必要な時に必要な量だけ入荷する方式の導入
特に季節変動の大きい商品や、トレンド商品を扱う場合は、柔軟な在庫管理システムが重要です。
越境ECの次のステップ
AliExpress仕入れでの成功体験を活かした事業拡大の方向性：
- 他の中国EC活用：1688.com（アリババの中国国内向けサイト）などへの展開
- 直接取引：信頼できるサプライヤーとの直接取引への移行
- 現地法人設立：中国に自社の調達拠点を設立
- 他国市場への展開：日本での成功モデルを他のアジア諸国などに展開
- 製造委託（OEM/ODM）：オリジナル商品の製造委託への発展
ポイント：事業拡大の際は、リスクとリターンのバランスを考慮し、段階的にアプローチすることが成功の鍵となります。特に新市場や新商品カテゴリーへの展開は、小規模なテストから始めることをお勧めします。
まとめ：失敗しないAliExpress仕入れのポイント
AliExpressを活用した仕入れビジネスは、適切な準備と戦略があれば、日本企業にとって大きな成長機会となります。AliExpress仕入れで最も重要なのは、商品選定・サプライヤー評価・テスト仕入れ・規制確認の4点です。
これらを押さえれば、大きなトラブルを回避しながら安定した販売につなげることができます。
初心者は一度に大量発注せず、小ロットで検証しながら段階的に広げるのが最も安全な方法です。
今日から実践できる内容ばかりですので、まずは小さく始めて経験を積んでいきましょう。
