中国から日本市場へアパレルや靴を輸入する際、返品・交換の主要因となるのが「サイズ」の不一致です。日中および国際的なサイズ体系の差異を正確に理解することは、コストリスクを最小限に抑え、顧客満足度を高めるための必須条件となります。
「中国のLサイズが日本のMサイズより小さい」「表記サイズと実測サイズが合わない」といったトラブルはブランドイメージに直結します。
本記事では、輸入業者様向けに、サイズ表記の落とし穴を避け、実用的な変換ガイドラインと検証原則を詳しく解説します。
靴(シューズ)のサイズ問題と日中・国際換算の基本

靴のサイズは特にフィッティングがシビアなため、正確な理解が不可欠です。
実務ポイント(靴サイズ)
– EU/USサイズ表記はメーカー差が大きいため、インソール長の実測値を必ず確認する
– スニーカー・革靴・ブーツなど、靴型ごとにフィッティングは別物として扱う
– 商品ページでは「日本サイズ(cm)」を主軸にし、EUサイズは補足情報として併記する
日本・EU・US・中国の靴サイズ体系の違い
国際的に使用される主なサイズ体系は以下の通りです。
国際的な靴のサイズ体系
| 体系名 | 主な使用地域 | 基準(目安) |
|---|---|---|
| 日本サイズ(JIS/モンドポイント) | 日本 | 足の長さ(cm) |
| EUサイズ(ヨーロッパ) | ヨーロッパ大陸全般 | 靴型(ラスト)の長さ(パリポイント)。中国でも多用される。 |
| USサイズ | アメリカ、カナダ | 足の長さ(インチ) |
| UKサイズ | イギリス | 足の長さ(大麦粒換算) |
| 中国サイズ(旧・新) | 中国大陸 | 新規格では足の長さ(mm/cm)が基本。旧規格は煩雑で混乱しやすい。 |
日本で採用されている「cm」表記はモンドポイントをベースとしており、足の実測の長さに基づいているため、最もシンプルで分かりやすい体系です。しかし、中国のサイズ規格や、国際的に流通するEU/USサイズとの換算には注意が必要です。
警告: メーカーの表記を鵜呑みにしない
EUやUSサイズ表記は、靴型(ラスト)の違いや製造メーカーの判断により、同じサイズでも実寸に大きなバラつきが生じます。必ず「実測値」で確認してください。
中国サイズから日本サイズへの換算公式と注意点
中国で一般的に流通しているEUサイズ(36, 37などの表記)と日本サイズ(cm)の簡易的な換算は、以下の公式で行うことができます。これは一般的な目安として活用できます。
中国サイズ → 日本サイズ (cm) の換算: (中国サイズ + 10) ÷ 2 = 日本サイズ
例:(中国サイズ 36 + 10) ÷ 2 = 23cm
日本サイズ (cm) → 中国サイズの換算: 日本サイズ × 2 – 10 = 中国サイズ
例:23cm × 2 – 10 = 中国サイズ 36
ただし、この公式は理論値であり、メーカーの靴型(ラスト)やデザインによって実寸に誤差が生じる場合があるため、後述の実測値による検証が最も重要です。
【注意】 この公式はあくまで理論上の目安です。必ず実測値を最優先して確認してください。
【実用】日中・国際靴サイズ対照表(男女別)
中国で多用されるEUサイズを軸に、日本市場で必須のcm表記と対照させます。
女性靴サイズ対照表
女性靴サイズ対照表 (中国/EU vs 日本)
| 中国/EUサイズ | 日本サイズ (cm) | USサイズ (Women’s) |
|---|---|---|
| 35 | 22.5 | 5.5 |
| 36 | 23.0 | 6.5 |
| 37 | 23.5 | 7.0 |
| 38 | 24.0 | 7.5 |
| 39 | 24.5 | 8.0 |
| 40 | 25.0 | 8.5 |
| 41 | 25.5 | 9.0 |
男性靴サイズ対照表
男性靴サイズ対照表 (中国/EU vs 日本)
| 中国/EUサイズ | 日本サイズ (cm) | USサイズ (Men’s) |
|---|---|---|
| 39 | 24.5 | 6.5 |
| 40 | 25.0 | 7.0 |
| 41 | 25.5 | 7.5 |
| 42 | 26.0 | 8.0 |
| 43 | 26.5 | 8.5 |
| 44 | 27.0 | 9.0 |
| 45 | 27.5 | 9.5 |
換算のコツ
中国で広く流通するEUサイズは、日本のcm表記よりも約1サイズ(0.5cm)小さく表記される傾向があります。例えば、日本で26.0cmとされている靴が、EUサイズでは41(25.5cm相当)と表記されるなど、誤差が生じやすいため、必ず実寸サイズ(靴底やインソールの長さ)で確認するようにしましょう。
【注意】 これらの対照表は目安です。靴型や製造誤差により実寸が異なるため、必ず実測値による検証を最優先してください。
靴輸入で返品を防ぐためのサイズ確認ルール
靴のサイズ誤差は、フィッティングの悪さや痛みにつながるため、返品率が上がりやすい要因となります。
- 入荷時のサイズ抜き取り検査(検品):
- 必須項目: 納品された靴について、表記サイズだけでなくインソールの実測値を計測し、サイズ表と照合する抜き取り検査をルーティン化します。
- 業者選定: ラクットなどの専門サービスを活用し、信頼できる第三者による検査を導入することも有効です。
- サプライヤーとの仕様確認:
- ラスト(木型)の統一: サプライヤーに対し、「足長(cm)」を基準としたサイズ表記と製造を依頼し、EUやUSサイズをそのまま換算するのではなく、日本市場向けのラスト(木型)を使用しているか確認します。
- 靴型とサイズの一致性: 同じ表記サイズでも、スニーカー、パンプス、ブーツなど靴型(シューズタイプ)が変わるとフィッティングは大きく異なります。タイプごとの実測データも併せて要求しましょう。
- 製品ページでの表記戦略:
- 多重表記の徹底: お客様の混乱を避けるため、商品ページには「EU/中国サイズ」「日本サイズ(cm)」を併記することを推奨します。
- 注意喚起: 「この商品はEUサイズ表記のため、日本のサイズより小さめに感じられる場合があります。実寸の〇〇cmをご確認ください。」など、具体的な注意書きを明記することでトラブルを予防します。
服(アパレル)のサイズ差異と市場への適合戦略
衣料品は靴以上に「フィット感」「ゆとり」といった主観的な要素が絡むため、サイズ変換だけでなく、中国と日本の消費者の好みの差も考慮する必要があります。
実務ポイント(アパレル)
– 中国のS/M/L表記は日本より1~2サイズ小さい前提で検討する
– 号型・版型・生地の伸縮性を必ずセットで確認する
– ヌード寸法と製品実寸の両方を開示することで返品率を大幅に下げられる
中国独自の「号型」規格とS/M/L表記の傾向
中国の衣料品サイズは、公式には「号型」と呼ばれる規格が基本です。
号型/体型分類:
- 号(身長): 着用できる人の身長(例:170)
- 型(胸囲/胴囲): 衣服の主な身体寸法(例:88)
- 体型(体型分類): 衣服の適合性を示す体型区分。A、B、C、Yの4つがあり、この違いが日本の標準体型とのズレを生む最大の要因です。
- A型: 標準体型
- B型: 腹囲が胸囲より大きい(肥満体型)
- C型: 腹囲が胸囲に近く、胸囲が大きい(たくましい体型)
- Y型: 胸囲と腹囲の差が大きい(細身/若者体型)
現状
現在の中国国内市場でも、利便性の高いS/M/L表記が主流ですが、その実寸は日本の同表記と比較して全体的に小さめの傾向があります。特に日本の「ゆとり(リラックスフィット)」に相当する作りが少ないことが多いです。
面料(生地)の伸縮性/厚薄/版型
中国製品は、生地の伸縮性、厚み、そして「版型(ばんけい/シルエット)」によって、同じ表記でも着用感が大きく異なります。特にスリムフィット、ルーズフィットなどの「版型」が日本の標準と異なる場合があるため、実測値が命となります。
JIS規格と国際衣料サイズ体系の正しい理解
日本では「JIS規格」に基づき、号数と併せてS/M/L表記が用いられます。国際的なサイズ体系との違いを把握することが重要です。
日本および国際的な衣料品サイズ体系
| サイズ | 日本 (JIS規格目安) | ヨーロッパ (EU/仏) | アメリカ (US) |
|---|---|---|---|
| S (7号) | 胸囲 80-88cm / 身長 155-165cm | 36 / 42 | XS / S |
| M (9号) | 胸囲 88-96cm / 身長 165-175cm | 38 / 44 | S / M |
| L (11号) | 胸囲 96-104cm / 身長 175-185cm | 40 / 46 | M / L |
| LL (13号) | 胸囲 104-112cm / 身長 185-195cm | 42 / 48 | L / XL |
* JIS規格の「号」: 日本では「7号」「9号」「11号」といった号数表記が、女性のサイズ基準として長年用いられてきました。これは、バストやヒップなどのヌード寸法に基づいています。
日中アパレルサイズ換算と実寸対照の考え方
中国の工場で一般的に使用されるサイズ表記(cm)と、日本のS/M/L表記の対応原則を示します。
サイズ記号の前提:ヌード寸法 vs 製品実寸
- ヌード寸法: 着用者の身体寸法(JISの基準はこちら)
- 製品実寸: 実際の服の仕上がり寸法(身幅/肩幅/着丈 など)
商品ページでは、ヌード寸法と製品実寸の両方を明示すると返品率が下がります。
上衣(トップス)対照表
| 日本 S/M/L | 中国表記(目安) | ヌード寸法(日本) | 製品実寸(中国製)の傾向 |
|---|---|---|---|
| S | M – L | 胸囲 80-88cm | 日本のSよりタイトめ(着丈・袖丈も短め) |
| M | L – XL | 胸囲 88-96cm | 日本のMよりワンサイズ小さめ(実測値で判断必須) |
| L | XL – 2XL | 胸囲 96-104cm | 日本のLより細身(身幅注意) |
| XL | 2XL – 3XL | 胸囲 104-112cm | 日本のL〜XL相当 |
パンツ(ボトムス)対照表
| 日本 S/M/L | 中国表記(目安) | ヌード寸法(日本) | 製品実寸(中国製)の傾向 |
|---|---|---|---|
| S (76) | L | ウエスト 76cm | 股下、ヒップ周りのゆとりに注意 |
| M (80) | XL | ウエスト 80cm | ウエストゴムの伸縮性が日本製品と異なる場合あり |
| L (84) | 2XL | ウエスト 84cm | 丈が短く感じるケースが多い |
| XL (88) | 3XL | ウエスト 88cm |
注:ストレッチ性・生地厚・シルエット(スリム/ルーズ)で体感差大。実測値を必ず併記。
号型対応原則 / サイズ換算技巧
- 原則: 多くの場合、中国サイズのS/M/L表記は、日本の同じ表記よりも1~2サイズ小さいと見越して発注・表記することが安全策です。
- 技巧: 日本で販売する際は、中国の「号型」表記を無視し、実測値(肩幅、身幅、着丈など)を日本のJIS規格の「ヌード寸法」と比較して、日本のS/M/Lを割り当てます。
日本市場で好まれる着用感・フィット感とは
単なるサイズ変換以上に、日本の消費者の「着こなしの好み」を理解することが重要です。
衣服のスタイル/フィット感/ゆとりの好み
日本の消費者は、過度にタイトな「ぴったりフィット」よりも、適度なゆとり(ルーズフィット、リラックスフィット)を好む傾向にあります。特にカジュアルウェアでは、中国の標準的な体型に合わせたスリムフィットは敬遠される可能性があります。
面料の伸縮性とユーザーの着用感差異
中国製品は、日本製品に比べて同じ素材でも「ハリ」や「伸縮性」が異なる場合があります。着用感が日本の消費者の期待と異なる場合、サイズが合っていてもクレームにつながります。
在庫ロスを防ぐ売れ筋サイズの考え方と発注戦略
サイズに関するリスクを最小化し、安定的に商品供給を行うための戦略をまとめます。
実務ポイント(リスク管理)
– 発注前サンプルと量産品の実測差を必ずチェックする
– サイズ誤差の許容範囲を契約書に明文化する
– 入荷時の抜き取り検品をルーティン化することで、在庫ロスを防げる
日本市場における売れ筋サイズの予測
日本市場で最も需要が高いのは、一般的に以下のサイズ範囲です。この範囲の在庫を厚く持つことが、販売機会の最大化につながります。
| 品目 | 日本市場の売れ筋サイズ予測 | 備考 |
|---|---|---|
| 靴(女性) | 23.0cm ~ 24.5cm | 23.5cmと24.0cmが特にボリュームゾーン。 |
| 靴(男性) | 25.5cm ~ 27.0cm | 26.0cmと26.5cmが最も流通量が多い。 |
| レディースウェア | M(9号)〜 L(11号) | Mサイズを中心とし、次いでLサイズが売れる傾向。 |
| メンズウェア | M 〜 L | MとLの在庫比率を最も高く設定するのが一般的。 |
顧客の混乱を避ける多重サイズ表記法

顧客が「どのサイズを選べば良いか」迷わないよう、複数の情報を網羅的に提供します。
多重サイズ表記法
| 記載項目 | 記載内容の例 | 目的 |
|---|---|---|
| メインサイズ | Mサイズ (日本の標準サイズ換算) | 顧客の直感的な理解を促す。 |
| 原産国サイズ | 中国表記: L (号型: 170/92A) | 実物のタグに記載されたサイズとの不一致を防ぐ。 |
| 実測寸法 | 着丈: 70cm / 身幅: 52cm / 袖丈: 60cm | 最も重要。顧客自身で手持ちの服と比較可能にする。 |
【サイズ情報(商品詳細の推奨ブロック)】
- 日本サイズ(推奨): M
- 原産国表記: L(号型:170/92A)
- 製品実寸: 着丈 70 / 身幅 52 / 肩幅 44 / 袖丈 60(cm)
- モデル情報: 175cm / 65kg → M を着用(ゆとり:ややあり)
- フィット感: レギュラー(細身の方はS、ゆとり希望はL)
- 注意: 本製品はやや細身のパターン。実測値をご確認ください。
サイズの真正性検証とサプライヤーとの責任分担
サプライヤーとの取引開始時と、実際の納品時に行うべき重要なリスク管理策です。

- サンプル要求と実測データによる標準との比較:
- 発注前に必ず製品サンプルの実測データを要求し、自社の標準サイズと比較します。
- サプライヤーに対し、製品タグへの「日本サイズ(cm/JIS規格)」の併記を義務付けることも検討します。
- サプライヤーとの契約におけるサイズ誤差責任条項の追加:
- 契約書に「サイズ誤差許容範囲(例:製品実寸は表示値に対し ±1.0cm以内 とする。)」を明記します。
- 許容範囲を超える誤差が発見された場合の、サプライヤー側の責任(返品・交換費用負担、値引きなど)を明確に規定します。
- 入荷時/到着時の抜き取り測定による検証:
- 入荷した製品のロットごと、色ごとの抜き取り測定を実施し、納品された商品群の中でサイズにばらつきがないかを確認します。
まとめ
本記事では、中国製品を日本市場で展開する際のサイズに関するリスクと、それを回避するための実用的な戦略を解説しました。
最も重要な原則は、「S/M/Lといった記号表記に依存せず、実測値(cm)を基準として日本のサイズに正確に換算し、顧客に親切な情報開示を行うこと」です。この対策により、サイズ起因の返品率を大幅に低減できます。
サイズ換算は理解できても、
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