【保存版】日本への食器・おもちゃ輸入規制完全ガイド|食品衛生法・検査手順・通関フロー

【この記事はこんな方におすすめです】
  • 中国から食器・マグカップ・おもちゃを輸入して日本で販売したい方
  • 食品衛生法の対象になるかどうか、自分の商品で判断できず不安な方
  • 検疫・検査・通関の流れを理解し、輸入トラブルを未然に防ぎたい方
  • 全量廃棄や積戻しといったリスクを避け、安定して継続輸入したい方

「中国からデザイン性の高い食器やマグカップ、知育玩具を仕入れて、日本で販売したい」

食器やベビー用品は、EC市場においてリピート率が高く、ブランド化しやすい魅力的なカテゴリーです。
一方で、多くの事業者が輸入段階でつまずく最大の要因が、「食品衛生法」という見えない規制の壁です。

人の口に触れるこれらの製品は、アパレルや一般雑貨とは異なり、厳格な安全基準が求められます。
十分な知識がないまま輸入すると、日本の港で全量廃棄や積戻し(返送)を命じられ、数十万〜数百万円規模の損失につながるケースも珍しくありません。

本記事では、食品衛生法の規制対象の考え方から、検査・届出・通関の実務フロー、さらに検査費用や輸入トラブルを抑えるための実践ポイントまでを、初めて中国輸入に取り組む事業者の方にも分かりやすく解説します。

目次

食器・おもちゃ輸入に関わる法律・規制

日本向け中国輸入における食器・おもちゃの法律適用タイミング

輸入ビジネスを始める前に、必ず押さえておくべき法律を整理します。特に「おもちゃ」も食品と同じ法律で管理されている点に注意が必要です。

食品衛生法(最も重要)

これが輸入のメインとなる法律です。 食器は「食品用器具・容器包装」、おもちゃは食品衛生法上「指定おもちゃ」として分類されます。 この法律では、以下の製品が規制対象となります。

  • 食器類:皿、コップ、カトラリー、調理器具、コーヒーミルなど
  • 乳幼児用おもちゃ「3歳未満」を対象とした、口に接触する可能性のある玩具(積み木、おしゃぶり、風船、折り紙、粘土など)
  • 目的:有害物質(鉛、カドミウム、フタル酸エステルなど)の溶出による健康被害防止。
  • 義務:輸入者は厚生労働省検疫所へ「食品等輸入届出書」を提出し、内容に応じて審査または検査を受けます。

厚生労働省|食品衛生法(器具・容器包装・おもちゃ)

関税法(関税・消費税)

  • 輸入申告を行い、関税と輸入消費税を納付する必要があります。
  • HSコード(統計品目番号):食器の材質(陶器、ガラス、プラスチック)やおもちゃの種類によって関税率が大きく異なります(第7章で詳述)。

家庭用品品質表示法・EC規約

  • 表示義務:日本国内で販売する際、製品に「材質」「耐熱温度」「対象年齢」などを日本語で表示する義務があります。
  • Amazon・楽天の出品規制:食品衛生法の適合を証明する書類(届出書写し、検査成績書)の提出が求められるケースが増えています。

家庭用品品質表示法

食品衛生法の対象となる輸入ケース・判断基準

「私の商品は手続きが必要?」という疑問に答えます。

手続きが必須となるケース(販売・営業用)

以下の目的で輸入する場合は、必ず食品衛生法に基づく手続きが必要です。

  • 販売目的(ネットショップ、実店舗、メルカリ等のフリマアプリ含む)
  • 営業目的(カフェやレストランの備品、キッズスペースの玩具として使用する)
  • 不特定多数への配布(企業のノベルティ、販促品など)

対象は、「食品や飲料に直接触れるもの」および「乳幼児が口に含む可能性のあるおもちゃ」全般です。

手続き不要なケースと注意点(個人使用・観賞用)

  • 完全な個人使用(自分や家族だけで使う)
  • 明確な装飾品・インテリア(穴が空いている、塗装が特殊など、物理的に使用できないことが明らかなもの)

ただし、「観賞用として輸入します」と税関で主張しても、形状が一般的な食器や玩具であれば「実際に使用される可能性がある」と判断され、規制が適用されることがほとんどです。あくまで「客観的に見てどう使われるか」が判断基準となります。

※「サンプル」「テスト販売」といった名目であっても、反復性や販売意図が認められる場合は、営業目的と判断されます。

食器・おもちゃの規制物質とリスク管理

食器・おもちゃの材質別リスク一覧図

なぜ輸入規制が厳しいのか、具体的に「何が」検査されるのかを解説します。

検査対象となる有害物質

日本の「食品衛生法」では、乳幼児が口に接触する玩具(指定おもちゃ)またはその原材料について、人体に有害とされる物質の使用・溶出を規制しています。下記の物質が検査・規制対象となります:

① 重金属・無機系有害物質

  • 鉛(Lead) → 重金属溶出・含有が基準値を超えないこと。
  • ヒ素(三酸化二ヒ素/Arsenic) → 溶出量が基準値以下であること。
  • カドミウム(Cadmium) → 含有・溶出の監視対象。
  • 亜鉛(Zinc) → 適切な基準値以下であること。

② 有機物・溶出性化学物質

  • フェノール(Phenol) → ゴム製品等からの溶出が規制される有害物質。
  • ホルムアルデヒド(Formaldehyde) → 溶出試験で陰性であることが求められる。
  • 蒸発残留物(Evaporation residue) → 材料からの残留性有機物が基準を超えないこと。
  • 過マンガン酸カリウム消費量 → 有機溶出物量評価指標として検査される。

③ 可塑剤(フタル酸エステル類)

  • フタル酸ジ-n-ブチル(DBP)
  • フタル酸ビス(2-エチルヘキシル)(DEHP)
  • フタル酸ベンジルブチル(BBP) → 可塑化された材料において含有量が基準(一般に0.1%以下)を超えないこと。
  • フタル酸ジイソノニル(DINP)等 → 乳幼児用玩具のポリ塩化ビニル材料では使用禁止規定あり。

乳幼児が口に接触するおもちゃの有害物質使用・溶出規制について説明

食品用器具・容器包装のポジティブリスト制度

食器・おもちゃの材質別リスク一覧

以下は、検疫所で実際に確認される「材质別に注意すべきリスク要素」です。

材質カテゴリ想定されるリスクの種類説明(日本公式ソースに基づく)
陶磁器(陶器・磁器)重金属溶出(鉛・カドミウム等)食品接触部分の釉薬等から鉛・カドミウムが溶け出す可能性がある。検疫で重点検査対象となる。
ガラス重金属含有/溶出特に鉛を含む水晶ガラスや着色処理により元素が溶出する可能性がある。
プラスチック(合成樹脂)可塑剤(フタル酸エステル類)、重金属等塩化ビニル等の可塑化材料に含まれる可塑剤や一部の添加物が溶出する可能性がある(食品接触用途はPositive List制度対象)。
ゴム・シリコーン可塑剤、揮発性有機物残留ゴム・シリコン素材から残留化学物質が溶出する可能性がある。
金属製品(金属・メッキ部品)重金属溶出小部品やアクセサリー部材で鉛等の溶出リスク。
着色料/塗膜有害色素・重金属溶出塗料・着色剤からの溶出が検査対象となる。
紙・木材(おもちゃ等)着色料・重金属リスク紙・木材でも着色料や重金属が溶出しないか確認対象。

「製品の同一性」によるコスト削減

実務上非常に重要なのが「製品の同一性」です。以下の要素が一つでも変わると「別製品」とみなされ、それぞれ検査が必要になります。

  • 材質(同じ陶器でも土や配合が違う)
  • 色・柄(使用している顔料が違う)
  • 製造工場

特に、多色展開のマグカップや、パーツの多いおもちゃセットは検査費用が高額になりがちです。

中国輸入で事前に準備すべき書類・情報

スムーズな通関のために、メーカー(サプライヤー)から以下の情報を事前に入手してください。

必須の基礎資料(Material List)

  1. 製品画像とスペック(サイズ、用途、対象年齢)
  2. 材質詳細リスト
    • 陶器:土、釉薬の種類
    • プラスチック・おもちゃ:樹脂名(PP, PE, ABS, PVCなど)、可塑剤の有無
    • おもちゃ:塗料の種類
  3. メーカー・工場情報(名称、住所)

※メーカーからの情報は、口頭説明ではなく、必ず文書(PDF・Excel等)で取得してください。

場合によって必要な資料

  • 試験成績書(テストレポート):メーカーがすでに取得している検査データ。

「過去に輸入した商品と同じ」場合、「材質、製造工場、製造工程」が完全に一致していれば、過去の検査レポートを流用して新たな検査を省略できる制度があります。これを活用することが、継続的な輸入におけるコスト削減の鍵です。

輸入通関から販売までの実務フロー

食品衛生法に基づく中国から日本への食器・おもちゃ輸入通関フロー図

ここが最も重要な実務パートです。一般的な輸入(雑貨など)とは異なり、「税関申告の前」に食品衛生法の手続きが必要です。

STEP 1:事前確認とフォワーダー選定

  • 商品選定:第3章のリスクに基づき、輸入可能か判断します。
  • フォワーダー(輸送業者)への確認:「食品届(しょくヒンとどけ)が必要な貨物ですが、対応可能ですか?」と必ず確認してください。食品衛生法に詳しくない業者だと、通関トラブルの原因になります。

STEP 2:資料準備と先行確認

  • メーカーから材質表(Ingredient List)を入手します。
  • 初めての場合は、検疫所の相談窓口や通関業者に資料を見せ、「どのような検査が必要になりそうか」を事前に相談するのがベストです。

STEP 3:食品等輸入届出書の提出

  • 貨物が日本に到着する少し前、または到着直後に、管轄の検疫所へ「食品等輸入届出書」を提出します。
  • 現在はNACCS(輸出入・港湾関連情報処理システム)を通じたオンライン申請が一般的です。通常は契約した通関業者や代行業者に依頼します。

※NACCSの操作自体は、通常は通関業者が代行します。輸入者が直接操作するケースは多くありません。

NACCS公式サイト

STEP 4:審査・検査(運命の分かれ道)

検疫所が届出内容を審査し、以下のいずれかの判断を下します。

  • A. 書類審査のみで合格:過去の実績がある場合や、リスクが低いと判断された場合。→ 即日〜翌日に許可。
  • B. 検査命令・指導検査(検査が必要)
    • 貨物を保税地域(倉庫)に留め置きます。
    • 検査機関がサンプルを抜き取り、分析します(1週間〜2週間)。
    • 費用発生:検査費用、倉庫保管料、サンプル採取料がかかります。

STEP 5:食品衛生法の許可取得

  • 検査に合格すると「届出済証」が発行されます。これが「食品としての輸入許可証」です。

STEP 6:税関申告・輸入許可

  • 「届出済証」を税関に提示し、通常の輸入申告を行います。
  • 関税・消費税を納付し、ようやく貨物を引き取ることができます。

検査費用を抑える「自主検査」の選び方

自主検査とは

輸入者が自費で、厚生労働省登録検査機関に依頼して行う安全性試験のことです。

実施の必要性

法律上は任意ですが、初回の輸入やリスクが高い製品(鮮やかな陶器、PVC製おもちゃ等)は、検疫所から「検査合格が輸入条件(命令検査・指導検査)」とされる可能性が極めて高いです。

日本国内検査 vs 海外検査(中国)

① 日本国内で検査する

貨物到着後、保税地域(倉庫)でサンプルを採取し、日本の検査機関(日本食品分析センター等)で検査。

  • メリット:信頼性が最高、確実。
  • デメリット:検査期間中(1〜2週間)は通関できず、保管料が発生。コスト高。

② 日本国外(中国など)で検査する

中国などにある、厚生労働省が認める検査体制を有する海外検査機関(日本基準での検査が可能な機関)で、出荷前に検査。

  • メリット:到着後即通関可能。コストを抑えやすい。
  • 注意点:必ず「日本の食品衛生法基準」で検査すること。レポート記載内容に不備があると無効になります。

外国公的検査機関一覧

戦略的な使い分け

  • 初回・高リスク品・おもちゃ:トラブル回避のため、確実な「日本国内検査」を推奨。
  • リピート品・定番品:コストダウンとスピード優先で「海外検査」を活用。

7. 輸入トラブル回避のための注意事項

HSコード(関税率)の落とし穴

食器やおもちゃは、材質や機能によってHSコード(統計品目番号)が細かく分かれており、それによって関税率が大きく異なります。

  • 陶磁器の場合:「陶器(土もの)」か「磁器(石もの)」か、ボーンチャイナかによって税率が異なります(例:2.6%〜3.4%など)。
  • おもちゃの場合:人形か、セット玩具か、電子玩具かによって分類されます。
  • リスク:安易に安い税率のコードで申告すると、税関の事後調査で「追徴課税(過少申告加算税)」を課される可能性があります。材質を正確に把握することが節税とリスク管理の第一歩です。

税関|実行関税率表

検査不合格時のリスク

万が一、鉛やフタル酸エステルが基準値を超えて「不合格」となった場合、その商品は日本国内に入りません。

  • 積戻し(輸出国へ送り返す)
  • 廃棄(焼却処分など)

商品代金だけでなく、往復送料や廃棄費用も全て輸入者負担となります。 ※不合格品の再加工や基準値調整は、原則として日本国内では認められません。

販売時の国内責任

無事に輸入できた後も、販売時には以下の表示義務があります。

  • 品名
  • 材質の種類
  • 耐熱温度
  • 対象年齢(おもちゃの場合)
  • 表示責任者の名称(輸入者名)と連絡先

安全な商品を届けるために

食器やおもちゃの輸入は、アパレルなどに比べてハードルが高いのは事実です。 しかし、その分ライバルが参入しにくく、一度しっかりとしたコンプライアンス体制を作ってしまえば、長く安定して利益を出せる商材でもあります。

重要なのは「手続きの多さ」に圧倒されることではなく、「事前に材質と規制を理解し、準備すること」です。

まずは、仕入れたい商品の材質詳細(Material List)をメーカーに確認することから始めてみてください。

食器・おもちゃの中国輸入を検討中の方へ

ラクット輸入では、中国工場の選定、相見積り、サンプル取得・検品など、
日本向け販売を前提とした調達・輸入準備を実務面からサポートしています。

「量産前にサンプルや材質情報をしっかり整理しておきたい」
「工場の品質や対応力を事前に確認したうえで輸入を進めたい」
といった段階で、現地チームと日本語対応スタッフが伴走します。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次