中国輸入ビジネスでは、
「輸入できない商品」と「手続きをすれば輸入できる商品」を正しく見極められるかが、
利益以前に、事業を継続できるかどうかを左右します。
本記事では、中国輸入で特にトラブルが多い
禁止品・規制品の具体例と、税関申告から輸入許可までの流れを、
実際の輸入実務に沿って分かりやすく解説します。
輸入禁止品とは?日本へ絶対に輸入できない商品
関税法などに基づき、日本への輸入が厳しく禁止されている品目です。輸入しようとすると、貨物は没収され、輸入者には重い罰則が科されます。輸入者自身が意図せず禁止品を輸入した場合でも、規制対象となります。内容物の確認は徹底してください。
| カテゴリ | 具体的な例 | 根拠となる主な法律 |
| 麻薬・向精神薬等 | あらゆる種類の麻薬、大麻、覚せい剤、指定薬物など | 関税法、麻薬及び向精神薬取締法、大麻取締法など |
| 銃器・武器 | けん銃、小銃、機関銃、これらの部品、弾薬、およびその模造品 | 関税法、銃刀法 |
| わいせつ物 | 公の秩序または善良の風俗を害する書籍、図画、その他の物品 | 関税法 |
| 偽造品・侵害品 | 偽ブランド品、偽造通貨、IPR(知的財産権)を侵害する物品(後述) | 関税法、商標法、著作権法 |
| 家畜の伝染病媒介物 | 特定の肉製品、動物の病原体など、伝染病を媒介するおそれのあるもの | 家畜伝染病予防法 |
中国輸入で特に注意すべき点
・「サンプルだから大丈夫」は通用しない
・工場の“おまけ混入”でも輸入者責任になる
・意図せずIPR侵害になるケースが最も多い
輸入規制品とは?手続きをすれば輸入できる商品
これらの品目は、特定の日本の法令に基づき、輸入許可証や届出書の提出、または技術基準のクリアが義務付けられています。

食品・食器・台所用品(食品衛生法)
口に入るもの、または口に触れる可能性のあるもの全てが対象です。
- 規制対象: 食品、飲料、添加物、サプリメント、調理器具、食器、乳幼児が触れるおもちゃの一部など。
- 必要な手続き: 輸入前に検疫所へ「食品等輸入届出書」を提出し、審査・検査を受ける必要があります。
化粧品・医薬品・医療機器(薬機法)
人の身体に直接影響を与える可能性がある製品です。
- 規制対象: 化粧品(石鹸、シャンプー、美容液など)、医薬品、医療機器(マッサージ器、体温計など)。
- 必要な手続き: 商業輸入には、事業形態に応じた製造販売業許可や、輸入ごとの届出・承認が必要です。
電気用品(電気用品安全法 – PSEマーク)
コンセントに接続して使用する電気製品は、日本国内での販売にあたりPSEマークの表示が必須です。
- 規制対象: ACアダプタ、照明器具、扇風機、モバイルバッテリーなど、日本のコンセントに接続するほぼ全ての電気製品(特定電気用品、特定電気用品以外の電気用品)。
- 必要な手続き: 登録検査機関による適合性検査、技術基準への適合、輸入事業者の届出、PSEマークの表示。

無線機器(電波法 – 技適マーク)
BluetoothやWi-Fiなど、電波を発する全ての製品は、日本の技術基準適合証明(技適マーク)が必要です。
- 規制対象: Bluetoothイヤホン/スピーカー、Wi-Fiルーター、ワイヤレスマウス、ドローン、特定小電力トランシーバー、RFリモコンなど。
- 必要な手続き: 指定された登録証明機関による技術基準適合証明を受け、製品に技適マークを表示すること。これが無い製品を国内で販売・使用することは電波法違反となります。
表示義務がある商品(家庭用品品質表示法・PL法)
消費者が適切な選択と安全な利用を行うための情報提供と、製品欠陥による事故リスク管理のための法規です。
- 家庭用品品質表示法: 繊維製品、合成樹脂加工品、電気機器など、特定の家庭用品について、素材、使用方法、性能などを正確に表示することが義務付けられています。
- 表示責任/PL法(製造物責任法): 輸入事業者は、国内の製造者と同様に、製品の欠陥により消費者に損害を与えた場合の責任(製造物責任)を負います。製品本体や取扱説明書に適切な警告表示や注意書きを付すことがリスク管理上必須です。
動植物・木製品(動植物検疫)
輸入動物や植物には、日本国内の農畜産業を守るため検疫が必要です。
- 規制対象: 生きた動物、肉製品、果物、野菜、穀物、木材など。
- 必要な手続き: 動物検疫所または植物防疫所による検査と証明書の提出。
輸入禁止品と輸入規制品の決定的な違い
輸入禁止品と輸入規制品の二つの区分は、輸入ビジネスにおけるリスクと対処法が根本的に異なります。
「輸入できない」vs「手続きをすれば輸入できる」
| 区分 | 輸入の可否 | 主な目的 | 違反時のリスク |
| 禁止品 (セクション2) | 絶対不可 | 社会秩序、公衆衛生、国家安全の保護 | 貨物の没収、重い罰則(刑事罰の可能性) |
| 規制品 (セクション3) | 条件付きで可能 | 消費者の安全・健康、国内産業・検疫の保護 | 貨物の留め置き、行政指導、改善・検査費用の発生 |
ポイント: 輸入規制品であっても、必要な手続き(検査、届出)を完了すれば国内販売が可能です。ただし、手続きを行わなければ貨物は税関で留め置かれます。
判断を誤った場合のリスク比較(没収/留置)
| 区分 | 輸入禁止品 | 輸入規制品 |
|---|---|---|
| 輸入可否 | 絶対不可 | 条件付きで可能 |
| 税関対応 | 即没収 | 留め置き |
| 是正・挽回 | 不可 | 書類提出・再検査で可能 |
| 主な損失 | 貨物没収・罰則 | 保管料・検査費用・遅延 |
| 実務上の注意 | サンプルでも違反 | 手続き漏れが致命傷 |
税関申告の流れ|中国輸入の基本フローを解説
輸入の可否とコストを決定する最も重要なプロセスです。HSコードの特定から関税・消費税の納付まで、定められた7つのステップと必要書類を正確に把握することが必須です。
輸入手続きは、税関に輸入申告を行い、許可を得ることで完了します。正確な手続きと書類準備が円滑な通関の鍵となります。
申告から輸入許可までの流れ(7ステップ)
| ステップ | 詳細内容と目的 |
| 1. 品目特定とHSコードの仮決め | 輸入税率と所管法を紐づける起点。貨物の材質、用途、形状を正確に特定し、HSコード(統計品目番号)を仮決定します。これにより、適用される関税率と、後続の規制法規の要否が確認できます。 |
| 2. 規制確認(法令の要否) | 仮決めしたHSコードに基づき、貨物が日本のどの規制(食品衛生法、薬機法、PSE、電波法(技適マーク)、検疫など)に該当するかを確認します。該当する場合、この時点で必要な許認可や検査手続きを完了させます。 |
| 3. 必要書類の準備と通関業者への依頼 | 申告に必要な商業書類と、ステップ2で取得した許認可証等の法令関連書類をすべて揃え、通関業者へ提出(または自社でNACCSにて申告準備)。 |
| 4. 輸入申告(NACCS) | 通関業者が税関へ「輸入(納税)申告書」を提出します。 |
| 5. 審査・検査 | 税関が申告内容と添付書類を審査。必要と判断された場合、貨物の内容と申告の整合性を確認するための現品検査が実施されます。規制品については、法令担当部署(検疫所など)の検査・審査が行われます。 |
| 6. 関税・消費税・立替手数料の納付 | 審査・検査クリア後、確定した関税額と消費税額、および通関業者の立替手数料や通関料を納付します。 |
| 7. 輸入許可(輸入許可通知)→引き取り | 納税を確認後、税関から輸入許可通知が発行されます。これにより貨物は保税地域から引き取り可能となり、国内流通が可能になります。 |
関税・消費税の計算の考え方
関税と輸入消費税は、以下の計算式に基づき算出されます。
- 課税価格の決定: 課税価格 = CIF価格(Costa + Insurance + Freight) + 加算要素 (商品の価格に、保険料や運賃、その他の費用を加えたもの。中国からの輸入では原則として運賃・保険料込みの価格が基になります。)
- 関税額の算出: 関税額 = 課税価格 × HSコードに基づく関税率
- 輸入消費税額の算出: 消費税額 = (課税価格 + 関税額) × 消費税率(国税7.8%、地方税2.2%、合計10%) 注: 2025年現在、輸入消費税の税率は合計10%です。
その他費用: 上記に加え、通関業者への通関手数料、関税・消費税の立替手数料、保税倉庫の保管料、検査費用などが別途発生します。

HSコードと法令確認が最初に重要な理由
税関申告において、すべての起点となるのがHSコード(統計品目番号)の特定です。
- HSコードは関税率だけでなく、適用される日本法令を決定する基準となる
- 食品衛生法・薬機法・PSE・電波法などの要否はHSコードに紐づく
- HSコードを誤ると、本来必要な届出や検査を見落とす原因になる
- 商品名や用途が曖昧なまま申告すると、税関で別コードに修正されることがある
- 仕入れ前に「HSコード+関連法令」をセットで確認することが重要
税関で止まる主な原因と事前対策
中国輸入において税関で貨物が止められる原因は、決して特殊なものではありません。
多くは、以下のような事前確認不足に起因します。
| 主な原因 | 内容例 | 事前対策 |
|---|---|---|
| 書類不備 | 規制品なのに証明書未提出 | 仕入れ前に必要書類を洗い出す |
| HSコード誤り | 商品内容と申告が不一致 | 用途・材質を明確化 |
| 表示義務未対応 | 日本語表示・事業者名なし | 出荷前に表示内容を確認 |
| 内容申告不正確 | インボイス記載が曖昧 | 工場情報を精査して申告 |
| 工場任せ判断 | 「問題ない」の鵜呑み | 日本側基準で再確認 |
問題が発覚してから対応するよりも、事前対策のほうが圧倒的にコストと時間を抑えられます。
税関申告に必要な書類一覧
| 書類分類 | 書類名 | 目的/備考 |
| 商業書類 | Commercial Invoice(商業送り状) | 価格、数量、取引条件の証明 |
| 商業書類 | Packing List(梱包明細書) | 貨物内容と重量・容積の証明 |
| 商業書類 | B/L(船荷証券)/ AWB(航空貨物運送状) | 貨物の運送契約と受取の証明 |
| 特定書類 | 原産地証明書 | 特恵関税(EPA/FTA等)の適用を受ける場合 |
| 特定書類 | 保険証券/保険付保証明書 | CIF価格の算定に必要 |
| 法令関連書類 | 食品等輸入届出書 | 食品衛生法該当品 |
| 法令関連書類 | 適合性検査証明書(PSE/技適) | 電気用品安全法(PSE)、電波法(技適)該当品 |
| 法令関連書類 | 輸入承認書/輸入許可証 | 薬機法(医療機器等)や外為法(戦略物資)等で必要となる場合 |
| 法令関連書類 | 検疫証明書 | 動植物検疫が必要な貨物 |
IPR(知的財産権)侵害品の取締り
中国輸入ビジネスにおいて、最も深刻なリスクの一つがIPR(知的財産権)侵害品の輸入です。
模倣品・偽ブランド品
- 対象: 有名ブランドのロゴやデザインを無断で使用した偽造品(アパレル、バッグ、時計など)、キャラクターの著作権を侵害した商品。
- リスク: 税関で侵害品と認定された場合、輸入は差し止め・没収されます。輸入者が故意でなかったとしても、ブランド権利者から損害賠償請求を受けたり、関税法違反として刑事罰の対象となる可能性があります。
- 対策:
- 仕入れ時にブランドの公式代理店または信頼できるサプライヤーからのみ購入する。
- 商品名、パッケージ、価格が不自然でないか、入念にチェックする。
- 販売する前に、類似商品やデザインがないか、特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)などで簡易調査を行う。
中国仕入れでIPR侵害を避けるための確認ポイント
IPR(知的財産権)侵害は、中国輸入において最も深刻なリスクの一つです。
特に注意すべきなのは、輸入者に「悪意がなかった」場合でも、税関で侵害品と判断されれば、差止・没収の対象となる点です。
そのため、中国仕入れでは「安い」「売れている」といった理由だけで判断せず、仕入れ前に最低限の確認を行うことが不可欠です。
IPR侵害回避チェックリスト
- その商品は輸入禁止品に該当しないか
- 規制品の場合、どの法令が適用されるか
- 必要な届出・検査・証明書は何か
- 表示義務や日本語対応は可能か
- 輸入後ではなく「仕入れ前」に判断できているか
主要な輸入規制法令と公式情報源まとめ
規制は頻繁に更新されるため、必ず公式情報を確認してください。
| 規制機関・法規 | 概要 | 公式ウェブサイト(日本語) |
| 日本 税関(財務省) | 輸入禁止・規制品目、IPR保護など、輸入全般の基本情報です。 | 税関 Japan Customs |
| 厚生労働省 検疫所 | 食品、食器、器具などの食品衛生法、薬機法関連(医薬品・化粧品)。 | 検疫所 FORTH |
| 経済産業省 (METI) | 電気用品安全法(PSE)、家庭用品品質表示法、製造物責任法(PL法)。 | 経済産業省 METI |
| 総務省 電波法 | 無線機器の技術基準適合(技適マーク)。 | 総務省 電波利用ホームページ |
| 特許庁(J-PlatPat) | 商標、特許、意匠などのIPR検索。 | 特許情報プラットフォーム J-PlatPat |
| 中華人民共和国海関総署 (GACC) | 中国側の輸出入規制(中国語)。 | 中华人民共和国海関総署 |
まとめ|中国輸入は「仕入れ前の判断」がすべて
中国輸入ビジネスにおけるトラブルの多くは、輸入後ではなく、仕入れ前の判断ミスによって引き起こされています。
- その商品は輸入禁止品ではないか
- 規制品の場合、どの法令が関係するのか
- 必要な書類や表示は揃えられるのか
これらを事前に確認することで、税関差止・没収・想定外コストといったリスクの大半は回避できます。
法令確認や書類対応を後回しにせず、「仕入れる前に判断する」ことが、中国輸入を安定して続けるための最大のポイントです。
規制品の判断を誤ると、税関での留め置き・検査費用・保管料・廃棄/積戻しなどが発生し、 数万円〜数十万円規模の損失になるケースもあります。 ラクットでは、仕入れ前の規制確認から、中国工場との調整、輸入実務までを 一貫してサポートし、安心して中国輸入を進められる体制を整えています。
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