実務者向け完全ガイド – 手続きから費用まで徹底解説
はじめに
日本は世界でも最も厳格な食品安全基準を持つ国の一つです。食品、食器、乳幼児用おもちゃなどを日本市場に輸入する際には、様々な強制認証を取得する必要があります。本ガイドでは、実務経験に基づいた具体的な手続き方法、検査プロセス、費用について詳しく解説します。
目次
1. 強制認証が必要な製品の種類
2. 日本の食品安全法規フレームワーク
3. 主要な強制認証制度
4. 食品届と輸入手続きの流れ
5. 試験成績証明書の取得方法
6. 中国での検査プロセス
7. 日本での検査プロセス
8. 認証費用と期間
9. 認証の有効期限と更新
10. 重要な注意事項
11. よくある誤解と対策
12. 実務的なアドバイス
1. 強制認証が必要な製品の種類
食品類
- 冷凍食品・缶詰食品
- 飲料・アルコール類
- 調味料・スパイス
- 健康食品・サプリメント
- 機能性食品・特定保健用食品
- 食品添加物
食器・容器・おもちゃ類
- 食器具(プラスチック・金属製)
- 6歳以下対象の乳幼児用おもちゃ
- 食品を入れる容器・包装材
- 食品製造用機械・器具
- 調理器具
重要なポイント
ラクットでは、特に食器具、乳幼児向けおもちゃ、食品容器、食品用包装材の4カテゴリーに専門的なサポートを提供しています。これらの製品は日本の食品衛生法に基づく厳格な基準をクリアする必要があります。
2. 日本の食品安全法規フレームワーク
食品衛生法(食品衛生法)
主要な規定内容
- 食品・添加物の規格基準(厚生省告示第370号)
- 農薬残留基準(ポジティブリスト制度)
- 食品表示義務
- 輸入届出制度(第27条)
管轄機関
- 厚生労働省(食品安全基準)
- 検疫所(輸入検査)
- 消費者庁(食品表示)
- 農林水産省(JAS規格)
HACCP システム(危害分析重要管理点)
2021年6月1日より、すべての食品事業者にHACCPに沿った衛生管理が義務化されました。
Hazard Analysis
危害要因分析
And
および
Critical Control Points
重要管理点
JAS認証(日本農林規格)
有機JAS認証
- 有機農産物・加工食品の認証
- 「有機」「オーガニック」表示に必須
- 登録認証機関での審査が必要
認証取得の流れ
- 申請書類の準備
- 講習会への参加
- 現地検査・審査
- 認証書の発行
3. 食品届と輸入手続きの流れ
貨物到着
船舶・航空機で日本の港・空港に到着
食品届出
検疫所へ食品等輸入届出書を提出(試験成績証明書添付)
審査・検査
食品衛生監視員による審査、必要に応じて検査実施
届出済証発行
問題なければ食品等輸入届出済証が発行
輸入許可
税関で輸入申告・許可、商品引き取り可能
重要な注意点
食品衛生法第27条により、販売又は営業上使用する食品等を輸入する場合は、輸入届出が義務付けられています。届出を行わない食品等は販売・営業使用できません。
4. 試験成績証明書の取得方法
中国での検査
輸入前にサンプル検査
日本での検査
輸入前にサンプル検査
初回輸入時検査
輸入後に現物検査
ラクットの推奨方法
初回輸入時検査はリスクが高いため、中国または日本での輸入前検査を強く推奨します。特に中国での検査は費用対効果が高く、手続きの負担も軽減できます。
5. 中国での検査プロセス
プロセスの特徴
- 厚生労働省承認の中国検査機関で実施
- お客様の作業は検査依頼・サンプル購入指示のみ
- 検査申込からサンプル発送まで全て代行
- 成績証明書の内容読解もサポート
必要な情報
- 商品の詳細情報・材質
- 製造工場の情報
- 商標権・輸出経験の確認
- 検査項目の指定
詳細フロー
依頼・情報伝達
お客様→ラクットへ検査依頼・商品情報伝達
工場連絡
ラクット→仕入れ工場へ情報・指示伝達
検査申込
検査機関申込→サンプル購入→発送
結果報告
検査終了後、ラクット経由でお客様へ報告書送付
6. 日本での検査プロセス
プロセスの特徴
- 検査機関はお客様が指定
- 検査機関リストは提供可能
- サンプルは開封せず検査機関へ直送
- 結果報告書はお客様が直接受領
お客様の作業
- 日本の検査機関への申込
- 必要サンプル数の確認
- 検査機関とのやり取り
- 報告書の内容確認
詳細フロー
依頼・情報伝達
お客様→ラクットへ検査依頼・商品情報伝達
工場連絡
ラクット→工場へ情報・指示伝達
検査機関申込
お客様→日本検査機関へ申込・必要個数確認
サンプル直送
サンプル購入→指定先(検査機関)へ直送
結果受領
日本検査機関→お客様に報告書送付
7. 認証費用と期間
中国での検査費用
項目 | 費用 |
---|---|
サンプルインボイス・製品情報資料作成 | 200元 |
検査申込・報告書入手(結果確認費含む) | 300元 |
金属製品検査 | 1,000元 |
プラスチック製品検査 | 1,500元 |
サンプル購入・発送費 | 実費 |
日本での検査費用
項目 | 費用 |
---|---|
サンプルインボイス・資料作成 | 200元 |
ポリプロピレン製容器検査 (シリコンゴム使用) | 58,000円 (税別) |
サンプル購入・国内送料 | 実費 |
国際送料 | 実費 |
検査期間の目安
モニタリング検査
通常7営業日(検査機関到着から)
中国検査
約10-14営業日
日本検査
約7-10営業日
重要な費用に関する注意
- 複合材料の場合、材質ごとに検査が必要(種類分すべてを検査)
- 不合格となった場合でも分析・手続き費用は発生
- 代理購入の月額会員であっても検査費用は別途必要
8. 認証の有効期限と更新
試験成績証明書の有効期限
基本的な有効期間
多くの証明書は1年間有効
再検査が必要な場合
色や仕様が変わった場合
ロット変更時
生産単位が変わると使用原材料も変わる可能性
品目登録制度の有効期限
基本的な有効期間
1年間(一部製品は3年間)
更新に必要な書類
輸入計画及び実績報告書
実績報告
年度毎に輸入実績を報告する必要
各種認証制度の有効期限一覧
認証種類 | 有効期間 | 更新条件 | 注意事項 |
---|---|---|---|
試験成績証明書 | 1年間 | 仕様変更時は再検査 | ロット変更推奨 |
有機JAS認証 | 1年間 | 年次検査・審査 | 認証機関への報告必要 |
品目登録 | 1年間(一部3年間) | 実績報告書提出 | 計画と実績の整合性確認 |
HACCP認証 | 3年間 | 継続的な監査 | 年次サーベイランス |
9. 重要な注意事項
検査・認証に関する注意
追加検査の可能性
予め成績証明書を入手していても、モニタリング検査等の追加検査が指定される場合があります。
毎回の検査推奨
ロット(生産単位)が変わると使用原材料も変わる可能性があり、毎回の検査を推奨します。
不合格時の費用
不合格となった場合でも分析・手続き費用は発生し、返金されません。
法的コンプライアンス
知的財産権の確認
意匠権・実用新案等の知財確認は特許情報プラットフォームで行う必要があります。
家庭用品品質表示法
プラスチック食品容器などは家庭用品品質表示法に基づく表示確認が必要です。
原産地表示義務
2022年4月より、すべての加工食品に原料原産地表示が完全義務化されました。
ラベル・表示に関する支援
日本語ラベル作成
必要に応じて中国側で日本語ラベル作成も可能
ラベル貼付
中国工場でのラベル貼付作業も対応可能
表示確認
消費者庁の表示例に基づく確認サポート
10. よくある誤解と対策
誤解
「一度認証を取得すれば、同じ製品は永続的に輸入できる」
正解
認証には有効期限があり、材質や色が変更された場合は再認証が必要です。
誤解
「中国での検査は信頼性が低い」
正解
厚生労働省承認の中国検査機関での検査は日本の基準に準拠しており、十分信頼できます。
誤解
「食器は食品ではないので、食品衛生法の対象外」
正解
食器具も食品衛生法第27条の対象であり、輸入届出と検査が必要です。
誤解
「少量の輸入なら届出は不要」
正解
販売・営業目的での輸入であれば、量に関係なく届出が義務付けられています。
成功のポイント
認証取得の成功には、正確な情報収集と適切な準備が不可欠です。ラクットでは、お客様の状況に応じて最適な認証取得方法をご提案し、手続きを全面的にサポートいたします。
11. 実務的なアドバイス
計画段階
- 製品の材質を正確に把握する
- 対象年齢・用途を明確にする
- 認証取得のタイムラインを設定
- 予算の確保(検査費用含む)
実行段階
- 専門業者への早期相談
- 必要書類の早期準備
- 工場との密な連携
- 検査結果の迅速な確認
フォローアップ
- 有効期限の管理
- 継続的な法令の確認
- 品質管理体制の維持
- 市場動向の継続監視
ラクットのサポート体制
中国側サポート
- 専任担当者によるサポート
- 工場との直接連携
- 検査機関との調整
- 中国語でのコミュニケーション
日本側サポート
- 日本語でのカスタマーサポート
- 必要書類の作成支援
- 法令改正情報の提供
- 継続的なフォローアップ
まとめ
成功への鍵
- 正確な情報収集と事前準備
- 専門業者との連携
- 継続的な法令遵守
- 品質管理体制の確立
ラクットの価値提案
- 豊富な実務経験
- 総合的なサポート体制
- コスト効率の最適化
- 継続的なパートナーシップ
日本市場への参入は複雑ですが、適切な準備と専門的なサポートにより、確実に成功へと導くことができます。
ラクットは、お客様の日本市場進出を全面的に支援いたします。