商品を安全に届けるために欠かせない「段ボール」。しかし実務の現場では、「どの種類を選べばいいのか分からない」「強度や規格の違いが曖昧なまま使っている」といった悩みを抱える担当者も少なくありません。
段ボール選びは、単なる梱包資材の話ではなく、輸送中の破損リスク・物流コスト・顧客満足度に直結する重要な判断です。
本記事では、物流の実務視点から、段ボールの基本構造・種類・強度の違いを整理し、商品特性や輸送条件に応じた「失敗しない段ボールの選び方」を分かりやすく解説します。
これから梱包業務を見直したい方、輸送トラブルを減らしたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
段ボールとは?物流で重要視される理由
物流における段ボールは、単なる「梱包用の箱」ではありません。
商品の保護、輸送効率、コスト管理、さらには顧客満足度やブランドイメージにまで影響を与える、物流工程の中核を担う資材です。
特にECや越境物流が一般化した現在では、段ボールの選定一つで、輸送中のトラブル発生率や返品率が大きく変わるケースも珍しくありません。
そのため、段ボールを正しく理解することは、物流品質を安定させるうえで欠かせない前提条件となっています。
段ボールが「ただの箱」ではない理由
段ボールは、以下のような複数の役割を同時に果たす物流資材です。
- 輸送中の衝撃・振動・圧力から商品を保護する
- 積み重ね輸送時の圧縮荷重に耐える
- 倉庫保管・配送時の作業効率を高める
- 商品外観・印象(印刷・表示)を左右する
特に物流現場では、「輸送箱が潰れる」「中身が破損する」といったトラブルの多くが、商品そのものではなく段ボールの選定ミスに起因しています。
強度不足の段ボールを使用すれば、輸送途中で箱が変形し、逆に過剰な強度を求めれば、不要なコストや容積増加につながります。
つまり段ボールは、守りすぎても、守らなすぎても問題が起きる「設計すべき物流資材」なのです。
段ボール選びが物流コスト・破損率に与える影響
段ボールの選定は、次の3つの観点で物流全体に影響を及ぼします。
1. 破損・返品リスク
強度や構造が適していない段ボールは、輸送中の破損リスクを高めます。
破損が発生すると、再配送・返品対応・顧客対応といった目に見えないコストが連鎖的に発生します。
2. 輸送・保管コスト
段ボールの厚みやサイズは、
- 配送料(サイズ区分・重量)
- 倉庫保管効率
- コンテナ積載効率
に直結します。
「安全そうだから」という理由だけで過剰な段ボールを選ぶと、物流コストが慢性的に膨らむ原因になります。
3. 顧客満足度・ブランド評価
箱の潰れや破損は、商品自体に問題がなくても、顧客に悪い印象を与えます。
特にECでは、段ボールの状態がそのまま「ショップの品質評価」につながるケースも少なくありません。
このように、段ボール選びは単なる資材調達の問題ではなく、物流のリスク管理とコスト最適化を左右する重要な判断です。
段ボールの基本構造と種類を理解する

段ボールを正しく選ぶためには、まず「どのような構造で、何が強度を決めているのか」を理解することが欠かせません。
段ボール箱は、一見シンプルに見えますが、実際には複数の紙素材と構造要素が組み合わさることで、軽さ・強度・緩衝性・印刷適性といった性能を実現しています。
この章では、段ボールの性能を左右する3つの基本要素(ライナー・中芯・フルート)を順に整理します。
段ボールを構成する「3つの要素」
段ボールは、以下の3要素で構成されています。
| 要素 | 役割・特徴 |
|---|---|
| ライナー(表裏紙) | 段ボール箱の外側・内側を構成する平らな紙。圧縮強度や積み重ね耐性、印刷品質に大きく影響する。 |
| 中芯(波状紙) | ライナーの間に挟まれる波状の紙。衝撃吸収性・剛性・軽量性を生み、段ボールの基本的な強度を支える。 |
| フルート(波形) | 中芯の波の高さと段数を指す構造要素。厚み・緩衝性・耐久性を用途に応じて調整する役割を持つ。 |
これらの素材・厚み・組み合わせ方によって、段ボールの用途や適正な使用シーンが大きく変わります。
ライナー(表裏紙)の役割と種類
ライナーは、段ボール箱の表面と底面になる、平らな紙のこと。箱の強度、特に積み重ねた時の強さや、表面の印刷の仕上がりに大きく影響します。外部からの衝撃や湿気から中身を守る、いわば「第一の盾」のような存在ですね。
ライナーの種類は、古紙がどれくらい含まれているか(古紙含有率)と、紙の重さ(坪量)で分けられます。一般的に、古紙が少ないほど(バージンパルプが多いほど)、そして紙が重いほど、ライナーの強度は高くなります。

Cライナー:古紙含有率が90%以上のライナー
- C5:1平方メートルあたり150~160グラム。比較的軽い商品の梱包や、箱の中の間仕切り、パッドなどに使われることが多い。コストを抑えたい時に選ばれます。
- C6:1平方メートルあたり160~170グラム。C5よりは強いですが、最近ではK5ライナーで代用されることも増えています。
Kライナー:約30%のバージンパルプを含むライナー
バージンパルプの繊維は長くて丈夫なので、KライナーはCライナーよりも強度が高く、印刷もきれいに仕上がります。
- K5:1平方メートルあたり170~180グラム。小さくて壊れやすいものの梱包や、きれいな印刷をしたい時にぴったり。強度と品質のバランスが良いタイプです。
- K6:1平方メートルあたり210~220グラム。K5よりもさらに強く、段ボールを積み重ねても潰れにくいのが特徴。特殊な形の段ボールにも向いています。中程度からやや重い商品の梱包におすすめです。
- K7:1平方メートルあたり280グラム。最も強度が高く、重い商品や輸出用の段ボール箱に使われます。最高レベルの保護が必要な時に頼りになります。
ライナー選びは、段ボールの性能だけでなく、コストや環境への配慮も考えるポイントになります。例えば、古紙が多いCライナーはコストを抑えつつ環境にも優しいですが、高価なものや壊れやすいものを送るなら、Kライナーのような丈夫なものを選ぶのが安心です。
中芯(波状紙)の役割と強度の違い
中芯は、段ボール板を横から見たときに、2枚のライナーの間に挟まっている波状の部分です。この波々が、段ボール箱に軽さ、丈夫さ、そして衝撃を吸収するクッション性をもたらしてくれるんです。
中芯の強度区分(坪量)
| 坪量(g/㎡) | 強度レベル | 特徴・用途 |
|---|---|---|
| 約120g | 標準 | 軽量商品の梱包や一般用途向け。コスト重視のケースで多く使用される。 |
| 約160g | やや高 | 標準よりも強度が必要な梱包に適する。 |
| 約180g | 高 | 中重量商品や耐久性を重視する梱包に使用される。 |
| 180g 強化中芯 | 高(強化) | 薬剤処理により圧縮強度を向上させた中芯。輸送負荷が高い場合に有効。 |
| 200g 強化中芯 | 最高 | 非常に高い耐久性が求められる重量物や輸出用途向け。 |
中芯の選定は、段ボール全体の厚み・重量・耐久性に直結します。
中芯の材質や波の形(フルート)は、段ボール箱全体の強度、厚み、重さ、サイズに大きく影響するので、用途に合った中芯を選ぶことがとっても重要ですよ。
フルート(波形)の役割と種類

フルートとは、中芯の波の高さと、30センチメートルあたりの波の数(段数)のこと。波の高さが高いほど段ボール箱は厚くなり、段数が多いほど耐久性や衝撃を吸収する緩衝性が高まります。
主なフルートの種類
| 種類 | 厚さ (mm) | 30cmあたりの段数 | 特徴 | 主な用途 |
| Aフルート | 5 | 34±2 | 日本で最も多く使用、緩衝性が高い | 引越し、農産物の外装 |
| Bフルート | 3 | 50±2 | 薄く、加工しやすい、経済的 | 小物、軽量物、内装、POP |
| Cフルート | 4 | 40±2 | 世界的に主流、Aフルートとほぼ同強度、印刷適性良好、省スペース | 一般的な梱包、印刷品質が求められる製品 |
| Eフルート | 1.5 | 93±5 | 薄く滑らか、厚紙のような見た目 | 内装、ギフトボックス、メール便 |
| Fフルート | 1.1 | 120以上 | 非常に薄い | メール便、ポスターケース |
| Gフルート | 0.9 | 160以上 | 直接オフセット印刷可能 | 商品パッケージ、内箱 |
| Wフルート | 8 | – | 最も頑丈、A+Bの組み合わせ | 重量物、輸出商品 |
薄いフルートと厚いフルートの違い
| 薄いフルートの特徴 | 厚いフルートの特徴 |
|---|---|
| 表面が滑らかで印刷がきれい 保管スペースを節約 軽量でコスト削減 加工しやすい | 高い緩衝性 優れた圧縮強度 重量物に対応 長距離輸送に適している |
段ボールの構造と種類を理解することで、「何となく選ぶ」状態から、用途・商品・物流条件に応じて合理的に選定する判断軸を持つことができます。
段ボールの層構造と強度の考え方
段ボール箱は、ライナーと中芯の組み合わせ(層構造)によって、強度・耐久性・用途が明確に分かれます。
一般的に、層の数が多いほど、段ボールは厚く・圧縮に強く・重量物に耐えられる。一方で、コストや重量、保管スペースも増加します。そのため、層構造の選定は「安全性」と「コスト」のバランスを取る判断が求められます。

両面段ボール(3層/シングルフルート)
2枚のライナーと1枚の中芯、合計3層の紙でできています。「シングルフルート」や「シングルウォール段ボール」とも呼ばれます。
特徴
- 軽量で取り扱いやすい
- コストを抑えやすい
- 日常的な宅配・短期保管に適している
主な用途
- 軽量商品の梱包
- 日常的なEC配送
- 短期間の保管用途
コスト重視・標準用途で最も多く使われる構造です。
複両面段ボール(5層/ダブルフルート)
2枚のライナー、2枚の中芯、そしてそれらの間に挟まれたもう1枚のライナー、合計5層の紙でできています。「ダブルフルート」や「ダブルウォール段ボール」とも呼ばれます。
特徴
- 両面段ボールより高い圧縮強度
- 衝撃への耐性が向上
- 中程度の重量物に対応可能
主な用途
- 中重量商品
- 精密機器
- 輸送時の負荷がやや高い商品
安全性を高めたいが、過剰なコストは避けたい場合に適した構造です。
複々両面段ボール(7層/トリプルフルート)
4枚のライナーと3枚の中芯、合計7層の紙でできています。「トリプルフルート」や「トリプルウォール段ボール」とも呼ばれます。
特徴
- 非常に高い圧縮強度と耐久性
- 長距離輸送や重積載に耐える
- 段ボールとして最高レベルの保護性能
主な用途
- 重量物
- 輸出商品
- 高い保護性能が求められる精密機器
重量・コストは増加するものの、破損リスクを最小限に抑えたい場合に選ばれます。
層構造別の強度と用途の整理
段ボールの層構造を一覧で整理すると、以下のようになります。
| 層数 | 一般的な名称 | 日本語名称 | 典型的な構成 | 相対強度 | 主な用途 |
| 3層 | シングルウォール | 両面段ボール | ライナー2枚 + 中芯1枚 | 標準 | 軽量物、一般的な商品 |
| 5層 | ダブルウォール | 複両面段ボール | ライナー3枚 + 中芯2枚 | 高強度 | 中重量物、精密機器 |
| 7層 | トリプルウォール | 複々両面段ボール | ライナー4枚 + 中芯3枚 | 最高強度 | 重量物、輸出用、超精密機器 |
層構造選びは「リスク管理」と「コスト最適化」
段ボールの層構造選びは、物流におけるリスク管理とコスト最適化のバランス調整です。
- 強度不足 → 輸送中の破損、再配送、クレーム、ブランドイメージ低下
- 過剰強度 → 資材コスト増、送料増、保管効率低下
特に高価な商品や壊れやすい商品では、適切な層構造を選ぶことが、将来の損失に対する「保険」として機能します。
商品別・用途別の段ボール選び実践ガイド
段ボールの構造や強度を理解しても、最終的に重要なのは「実際の商品に対して、どの段ボールを選ぶべきか」という判断です。
ここでは、商品特性・重量・輸送条件に応じた段ボール選定の考え方を整理します。
重量・商品特性別の基本的な選び方
まずは、商品の重量と特性を基準にした段ボール選びの基本指針です。
| 商品区分 | 主な商品例 | 推奨される段ボール | 選定時のポイント |
|---|---|---|---|
| 軽量商品 | 衣類、書籍など | 両面段ボール(Bフルート) | 過剰な強度は不要。コストと作業性を重視。 |
| 中重量商品 | 電子機器、食品など | 両面段ボール(Aフルート)または複両面段ボール | 衝撃や積載を考慮し、用途に応じて強度を調整。 |
| 重量商品 | 機械部品、重い家電など | 複両面段ボール(Wフルート)または複々両面段ボール | 圧縮強度と耐久性を最優先。 |
| 精密機器 | 精密電子機器など | 複両面段ボール以上+緩衝材 | 段ボール単体ではなく緩衝材との併用が前提。 |
| 輸出商品 | 海外向け商品全般 | 複々両面段ボール+防湿対策 | 長距離輸送・湿度変化への対応が必須。 |
精密機器・壊れやすい商品の注意点
精密機器や壊れやすい商品では、段ボールの層構造だけで安全性を確保するのは不十分です。
以下の点が重要になります。
- 複両面以上の段ボールを使用する
- 商品と箱の間に適切な緩衝材を入れる
- 箱内で商品が動かない構造にする
特に、段ボールの強度だけに頼ると、落下や衝撃時の一点集中による破損が発生しやすくなります。
輸出・長距離輸送における段ボール選定
輸出や長距離輸送では、国内配送とは異なる条件を考慮する必要があります。
考慮すべき主な要素
- 長時間の積載・圧縮
- 輸送中の振動・衝撃
- 湿度変化・結露
そのため、複々両面段ボールの使用、防湿対策(内袋・乾燥剤など)を組み合わせることが推奨されます。
段ボール選定は「設計」と「最適化」の作業
段ボール選びは、単なる資材選定ではなく、物流工程全体を見据えた設計作業です。
- 強度不足 → 破損・再配送・クレーム
- 過剰仕様 → コスト増・送料増
適切な段ボール選定は、物流品質の安定とコスト最適化を同時に実現します。
企業は段ボールを選ぶ際に、商品の価値、輸送環境(衝撃や圧力)、輸送距離、そして予算など、様々な要素を総合的に考慮する必要があります。このような多角的な視点を持つことで、目先のコストを抑えつつ、将来起こりうる隠れた損失を最小限に抑え、効率的で安全な物流を実現できるでしょう。
段ボールの日本規格(JIS)を正しく理解する
日本で流通する段ボール製品は、日本産業規格(JIS)によって、その品質・構造・表示方法が定められています。
これらの規格は、段ボールの製造側だけでなく、梱包・物流・輸送に関わるすべての事業者が共通の基準で判断できるようにするためのものです。
段ボールを適切に選定するためには、JIS規格の「細かい数値」をすべて覚える必要はありませんが、どの規格が、何を定めているのかを理解しておくことが重要です。
この章では、段ボールに関する日本の規格(JIS)の役割と、実務でどこまで理解しておくべきかを整理します。
JIS Z 0104(段ボール用語)の概要
この規格の役割は、業界内で用語の意味を統一し、誤解や認識のズレを防ぐことにあります。
主に定義されている内容
- 段ボールの種類 (片面・両面・複両面・複々両面段ボール など)
- フルート(A・B・C など)の区分や段数の考え方
- 構造・部位に関する名称
実務においては、仕様書や取引先との打ち合わせで共通言語として使われる規格と理解すると分かりやすいでしょう。
JIS Z 1516(外装用段ボール)の役割
JIS Z 1516 は、外装用段ボールそのものの品質・性能を規定する規格です。
規定されている主なポイント
- ライナー・中芯の材質に関する基準
- フルートの種類と特性
- 組み合わせによって構成される段ボール板の品質基準
この規格は、「どのような材料・構造の段ボールが、一定の品質を満たしているか」を判断するための指標となります。段ボール板の強度や信頼性の土台を定めている規格と言えます。
JIS Z 1506(外装用段ボール箱)の規定
JIS Z 1506 は、実際に使用される段ボール箱そのものを対象とした、非常に重要な規格です。
主な規定内容
- 段ボール箱の種類(全8種類)
- 最大総質量と最大寸法
- 基本形式(JIS Z 1507の0201形が基本)
- 品質要求(均一性、欠陥がないこと、圧縮強度)
- 構造(箱の各面が垂直であること、接合方法、継ぎしろの幅など)
- 寸法表示方法(内寸を「長さ×幅×深さ」ミリメートルで表示)や許容差
物流・梱包の実務では、この規格を基準に箱の仕様が決められるケースが多いため、最も実務との関係が深い規格と言えます。
JIS規格を実務でどう活かすべきか
JIS規格は、「必ずすべてを満たさなければならないルール」というよりも、品質と安全性を判断するための共通基準です。
実務では、次のような使い方が有効です。
- 取引先・工場との仕様確認時の基準として使う
- 強度・構造に不安がある場合の判断材料にする
- 輸出や長距離輸送時の品質担保の根拠にする
JIS規格を正しく理解しておくことで、段ボール選定における判断のブレを減らし、品質トラブルの回避につながります。
まとめ
段ボール選びは、単なるコスト削減の問題ではなく、商品保護、顧客満足、ブランドイメージ、そして持続可能性を総合的に考える重要な経営判断です。
現代の物流では、機能性、経済性、そして持続可能性のバランスを考えることがとても大切です。この記事で紹介した知識を活用して、最適な段ボール選びを実践してください!
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