「2025最新」中国からの輸入関税ガイド:仕組みと計算方法を徹底解説

「2025最新」中国からの輸入関税ガイド:仕組みと計算方法

日本企業が中国から商材を輸入する際には、関税や輸入消費税(国内消費税)がコストに大きく影響します。本記事では、その基本的な仕組みや計算方法から、商品カテゴリ別の具体的な税率と計算例、中小企業と大企業の関税管理の違い、原産地証明による関税軽減策、関連する輸入手続き、そして逆算課税のリスクまで、実務的な観点で詳しく解説します。

関税・消費税の基本構造と計算方法

まず、日本の輸入時に課される税金の基本構造を押さえましょう。輸入時には主に 関税輸入消費税(国内の消費税)が課税されます。計算は以下のような流れになります:

  • 課税価格(CIF価格):商品のインボイス価格(FOB価格)に運賃や保険料など輸送コストを加えたものが課税対象となる価格です。CIFとは Cost, Insurance and Freight の略で、商品の価格に保険料と運賃を含めた価格条件を指します。
  • 関税額の計算:関税率は商品(HSコード)ごとに定められており、その課税価格(CIF)に対して適用されます。関税額 = 課税価格 × 関税率 で算出され、算出後は100円未満切り捨てとなります。
  • 輸入消費税の計算:消費税は「課税価格 + 関税額 + その他の内国税額」の合計に対して課されます。計算式で表すと、輸入消費税額 = (CIF価格 + 関税額 + 酒税など内国消費税) × 消費税率 です。日本の消費税率は現在10%(内訳:国税7.8%+地方税2.2%)となっており、この税率を用いて計算されます。なお、算出した消費税額は100円未満切り捨て(地方消費税額はさらに細かい端数処理あり)となります。消費税の課税対象には関税も含まれるため、仮に関税が無税でも課税価格が適正でないと消費税額に影響します。
  • 合計輸入税額:最終的に支払うべき税額は「関税額+輸入消費税額(+必要に応じて酒税など)」の合計です。

計算例:

課税価格(CIF)が50万円の商品に関税率12%が適用される場合:

  • 関税額 = 500,000円 × 12% = 60,000円
  • 消費税(国税部分)= (500,000円 + 60,000円) × 7.8% = 43,600円(百円未満切捨て)
  • 地方消費税 = 43,600円 × 22/78 = 12,200円(百円未満切捨て)
  • 消費税(国税+地方税)合計 = 55,800円
  • 支払総額 = 関税(60,000円) + 消費税(55,800円) = 115,800円

このように、関税を加えた額に消費税が課されるため、関税額自体にも消費税10%が上乗せされる点に注意が必要です。

税金の種類課税対象となる金額(課税標準)税率・計算方法
関税CIF価格(商品価格+運賃+保険料)商品のHSコードごとに定められた関税率を適用(例:衣類10%、電子機器0%など)
輸入消費税CIF価格+関税額+内国消費税額等の合計消費税率10%を乗じて算出(内訳:国税7.8%、地方税2.2%)

※酒類やたばこなど酒税・たばこ税等がかかるものは、それらも合計に含めて消費税が課されます。また、日本円換算は輸入申告の前々週の為替レート平均値(税関公示レート)を用いる点も覚えておきましょう。

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商品カテゴリ別の関税率と具体的な計算例

輸入する商品の種類によって、適用される関税率は大きく異なります。ここでは代表的な商品カテゴリである 衣類(ファッション), 電子機器, 部品(機械部品など), 食品 について、一般的な関税率の目安と具体的な計算例を紹介します。

衣類(ファッション製品)

衣類・アパレル製品は比較的関税率が高めに設定される傾向があります。日本へ衣類を輸入する場合、課税価格が20万円を超える場合は一般税率(細かい品目別の関税率)が適用され、20万円以下の場合は簡易税率(一律5%または10%)が適用されます。企業による商業輸入では通常多くの場合20万円を超えるため、一般税率で考えておく必要があります。

主な衣料品の一般関税率は品目によって異なりますが、大まかな目安は以下の通りです:

  • コート・ジャケット・ズボン・スカート(繊維製のもの):約 8.4~12.8%
  • シャツ・下着類:約 7.4~10.9%
  • 水着:約 8.4~10.9%
  • ネクタイ(織物製):約 8.4~13.4%
  • マフラー類:約 4.4~9.1%
  • (参考)毛皮のコート:20%

これらはWTO協定に基づく一般税率(MFN税率)で、中国からの輸入品にも適用されます(※後述のFTA/EPA特恵を使わない場合)。なお、簡易関税率の場合は衣類は5%または10%に簡素化されますが、企業取引では該当するケースは少ないでしょう。

計算例:衣料品

課税価格(CIF)が 100万円 の衣料品(シャツ)を輸入するケース:

  • 関税率10%が適用される品目の場合
  • 関税額 = 100万円 × 10% = 10万円
  • 消費税 = (100万円 + 10万円) × 10% = 11万円
  • 税金合計 = 21万円(関税10万円+消費税11万円)

衣類は関税率自体が高めのため、製品価格の約20%以上が税金となる計算であり、価格設定や利益計算の際にはこの負担を織り込む必要があります。

電子機器(例:スマートフォン・PC等)

電子機器類は一般に関税率が低いか無税の品目が多いです。情報技術製品については多くが国際協定(ITAなど)により関税撤廃されており、例えば携帯電話・スマートフォン(HS8517.14)やパソコン類(HS8471等)などは関税が無税(0%)となっています。そのため、電子完成品を中国から輸入する場合、関税負担はゼロで、消費税(10%)のみを支払うケースが多いでしょう。

計算例:電子機器

課税価格(CIF)が 50万円 のノートパソコンを輸入する場合:

  • 関税率0%であれば 関税額0円
  • 輸入消費税 = 50万円 × 10% = 5万円(国税・地方税合計)
  • 税負担合計 = 5万円(消費税のみ)

電子機器ではこのように関税コストが不要な品目が多いですが、一部の周辺機器や電子部品で関税がかかるものもあるため、品目ごとのHSコードで確認が必要です。また、関税がかからないからと言って手続きを怠ると、CIF価格の申告ミスにより消費税額に影響することもありますので注意しましょう。

部品・部材(機械部品、電子部品等)

機械部品や電子部品などの工業製品の部材は、衣類や食品に比べて関税率が低めに設定されています。日本は工業製品については比較的低関税政策をとっており、特に基幹的な部品については 0~5%程度の関税率 が多いのが特徴です。例えば、自動車部品や電子部品などもHSコードにより異なりますが、5%以下の関税率となっているものが多数あります(工作機械用の高度な部品でもMFN税率は4.2%程度などの例があります)。

計算例:機械部品

課税価格(CIF) 200万円 の機械部品を輸入するケース:

  • 関税率が例えば 3% の品目であれば
  • 関税額 = 200万円 × 3% = 6万円
  • 消費税 = (200万円+6万円) × 10% = 20万6千円(端数処理前)
  • 合計税額 = 約 26万6千円(関税6万円+消費税約20万6千円)

部品類ではこのように関税負担は比較的小さいですが、後述するFTAの活用によってはさらに削減余地があります。

食品(農産品・加工食品)

食品類(農産物・食品加工品)は関税率が高めに設定されている品目が多く、日本国内産業保護のため特に農産物には高関税・関税割当などの措置がとられています。例えば、牛肉は一般関税率が 38.5%(セーフガード発動時は50%)にもなり、バナナは 40%前後 の関税率が課されます。その他、革靴なども30%以上の関税がかかるなど、食料品や関連製品には高率関税の例が目立ちます。

中国から輸入される食品としては、冷凍野菜や調味料、菓子類などが考えられますが、例えば調製食料品(スナック菓子等)には概ね 20%前後 の関税率が適用されます。チョコレート菓子であれば基本税率10%(関税割当枠超過分)といった品目もありますが、砂糖含有量による差や関税割当制度の適用等で実行税率が変わる場合もあります。

計算例:食品

中国産の調味ソースを輸入すると仮定し、課税価格(CIF)が 30万円、関税率が 20% だった場合:

  • 関税額 = 30万円 × 20% = 6万円
  • 消費税 = (30万円+6万円) × 10% = 3万6千円
  • 合計税負担 = 9万6千円(関税6万円+消費税3万6千円)

食品では関税率が高いため、商品の価格の数割が税金となるケースもあり、数量や価格によっては輸入コストが大きく膨らむ点に留意が必要です。

※食品を輸入する際は、関税以外にも動植物検疫や食品衛生法に基づく届出など、通関以外の手続きも必要になりますが、本記事の範囲では関税計算に絞って解説しています。

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中小企業と大企業における関税管理の違い(事例比較)

輸入業務に取り組む際の関税管理の体制は、企業の規模によって大きく異なります。ここでは中小企業と大企業それぞれの典型的な実務対応を事例ベースで比較します。

中小企業の事例

組織体制:社員数十名規模の中小企業A社は、中国からアパレル商品を輸入しています。

  • 貿易実務の専任担当者はおらず、営業担当が他業務と兼任で輸入手続きを管理
  • 輸入通関手続きの大半を通関業者(フォワーダー・乙仲)に委託
  • 必要書類の作成やHSコードの分類、税関への申告は通関業者が代行

実務プロセス:

  • 商品が届いた際に通関業者から提示される関税・消費税の納付額を確認
  • 指示通り関税を支払って貨物を引き取る
  • 通関業者からの請求書に基づき関税額・消費税額を計上
  • 事前に自社で関税額を詳細にシミュレーションすることはあまりない

課題:

  • 通関業者への依存度が高く、自社の専門知識が蓄積されにくい
  • EPA活用などの関税削減施策を見逃しやすい
  • 予期せぬ関税コストが発生することがある
大企業の事例

組織体制:社員数千名規模の大企業B社(電機メーカー)は、中国や東南アジアから電子部品を大量に調達しています。

  • 国際物流部門や貿易管理チームが社内にあり、複数名の通関士有資格者が在籍
  • 輸入する全商品のHSコードを自社で管理リスト化
  • 定期的に見直しや税率のアップデートを実施

実務プロセス:

  • 重要な部品については税関の事前教示制度を活用して分類の確認を実施
  • 将来の関税改正やFTA適用可能性についても社内で情報収集
  • 通関手続き自体は外部の通関業者に依頼するが、申告内容は社内システムで事前チェック
  • 原産地証明書や必要書類も社内で準備

優位点:

  • AEO(特定輸入者)認定を受け、輸入許可前引取り制度や納税申告特例制度を活用
  • 関税コストの事前管理や最適化策の社内検討が日常的に行われている
  • 必要に応じて輸入計画に反映させ、コスト削減を実現

上記のように、中小企業では通関業務を外注し自社では最小限の対応とするケースが多い一方、大企業では専門部署を設け自社で積極的に管理する傾向があります。中小企業にとって通関業者は貴重な実務パートナーであり、輸入フローを任せることで本業に専念できます。しかし、自社で把握しない分、関税制度改正への対応やFTAの活用漏れなどが起きやすいリスクもあります。一方大企業ではリソースを割いて管理する分、関税コスト削減の施策(FTA活用、事前分類、分割輸送の検討等)を講じやすく、結果的に競争力強化につなげています。それぞれの企業規模に応じた適切な関税管理体制を構築することが重要です。

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原産地証明とEPA/FTA活用による関税軽減策(特に日中間EPA)

関税コストを削減・免除する方法として、自由貿易協定(FTA)/経済連携協定(EPA) の活用が挙げられます。FTA/EPAにより締約国間の関税が削減・撤廃される場合、輸入時に原産地証明書を提出して協定税率(EPA税率)を適用してもらうことで、関税負担を大幅に軽減できます。

日本と中国の間では、近年発効した RCEP(地域的な包括的経済連携協定) が初めて本格的な関税引下げを実施するEPAとなっています。RCEPは2022年1月に発効し、日本が中国から輸入する品目の約88%が最終的に無税になる見通しです。具体的には、協定発効時点ですぐに約25%の品目で関税が即時ゼロとなり、残りの多くも段階的に関税率が下がっていきます。たとえば、ある機械部品(従来MFN税率5%)がRCEP協定では発効後徐々に関税率を下げ、10年目に無税となる、といったスケジュールが定められているケースがあります。このようにRCEPにより日中間で関税撤廃が大きく進むため、中国からの輸入ビジネスにおいては見逃せないメリットです。

EPAを活用するポイントは以下の通りです:

  • 協定税率の確認:まず輸入予定の商品がEPAで関税削減対象になっているか、協定税率が何%かを確認します。日本関税協会や税関の「実行関税率表(EPA税率欄)」で調べることができます。例えばRCEP、中国からの繊維製衣類は段階的削減対象であるものの即時ゼロではない、といった品目もあります。協定ごとに対象品目と税率スケジュールが異なるため注意しましょう。
  • 原産地要件の充足:EPA税率を適用するには、その商品が協定で定める原産品基準を満たす必要があります。一般に「〇%以上の原産地材料使用」や「特定の工程を当該域内で実施」などの要件があります。中国製品であれば中国国内での生産・加工度合いが基準を満たしていることが必要です。製造業者から原材料情報や工程情報を入手し、基準を満たしているか確認しましょう。
  • 原産地証明書の取得:要件を満たすことが確認できたら、原産地証明書(Certificate of Origin)を取得します。RCEPの場合、中国側の政府指定機関や商工会議所等で発給を受けるか、または一定の条件下で輸出者・生産者による自己証明(原産地声明)も認められています。取得した証明書には品目分類や原産地基準、発給番号などが記載されます。
  • 税関への申告:輸入通関時に、通常のインボイスやパッキングリストに加えて原産地証明書を税関に提出し、輸入申告書上でEPA税率適用の申告を行います。税関が証明書を審査し、適格と認められれば協定税率が適用され、関税が減免されます(無税の場合は関税額0に)。例えば、先述の関税率5%の部品(CIF100万円)にRCEP適用で税率が2.5%に下がれば、この輸入での関税額は5万円から2万5千円へと半減します。無税になれば0円になります。
  • 日中間EPA以外の協定:中国からの輸入ではRCEPが初の本格EPAですが、日本は他にも多数のEPAを結んでいます。中国に生産拠点を持つ日系企業の場合、日ASEAN包括的経済連携協定や日タイEPAなど第三国経由のEPAが使えることもあります。また、中国産でなくASEAN産部材を中国から調達するケースでは原産国がASEAN加盟国なら日ASEAN EPA税率の方が有利、という場合もあり得ます。自社の調達品目ごとに最も有利な協定を選択することが肝要です。

以上のようなEPA/FTAの活用により、関税コストを削減できれば価格競争力が高まります。ただし、原産地証明の取得や管理には手間がかかり、誤って適用すると後述の追徴課税リスクもあります。実際に利用する際は、協定のルールを正確に把握し、書類の保存も含めて適切に運用しましょう。

税関 原産地規則ポータル ↗

輸入手続きの流れと必要な準備(事前教示・HSコード調査・通関申告等)

中国から商品を輸入するにあたり、関税計算と並行して進める輸入手続きがあります。関税額を適正に納付するためにも、以下の手順と準備を押さえておきましょう。

  1. HSコードの調査と分類:輸入予定の商品がまずどのHSコード(関税分類)に該当するかを調べます。HSコードにより関税率や必要な他法令手続きが決まるため、ここが非常に重要なステップです。日本の関税率表(実行関税率表)は税関や日本関税協会のウェブサイトで公開されており、品名やキーワードから検索できます。また、税関に照会して事前教示制度を利用すれば、正式にその商品のHSコード(税番)を教示してもらえます。事前教示を受けるとその回答書は3年間有効で、通関時に尊重されます。新製品や分類が難しい貨物については事前教示を申請することで、後のトラブルを防ぎ確実な関税計算が可能になります。特に中国からの輸入品は独特な製品も多いので、自信がない場合は専門家(通関士)や税関に確認しましょう。

  2. 必要書類の準備:輸入通関には基本的に インボイス(商業送り状)、パッキングリスト(梱包明細書)、船荷証券/航空運送状 などの物流書類が必要です。インボイスには品名、数量、価格、原産国、貿易条件(例:CIF Shanghaiなど)を正確に記載してもらいます。これらの情報がそのまま課税価格算定やHSコード申告に使われます。また、原産地証明書(FTA活用時)、各種許可証(食品なら検疫証明、電気製品ならPSE証明など該当する場合)も事前に取得しておきます。中国側のサプライヤーとも連携し、必要書類が漏れなく揃うように調整します。特にインボイス価格と実際の支払価格がずれると後日問題になりますので、値引きや無償提供品がある場合はその旨をインボイスに記載するか別紙を用意します。

  3. 通関業者への依頼・書類提出:通関業者(または自社通関部門)が輸入申告書を作成します。事前に調査したHSコード、関税率、貨物概要、取引条件、原産地証明の有無などを業者に伝達します。通関業者は税関のNACCSシステムを通じて 輸入申告 を行います。申告書には課税価格や適用関税率、関税額、消費税額なども記載されます。ここで誤りがあると納税額の誤差や許可遅れにつながるため、業者任せにせず自社でもダブルチェックすることが望ましいです。特に初めて扱う品目やEPA適用貨物では、申告内容を事前によく確認しましょう。

  4. 税金の納付と貨物引取:税関が申告を審査し問題なければ「輸入許可」となります。許可前または同時に、関税・消費税を納付します。通常は立て替え納税(通関業者が一時立て替えて後で請求)か、輸入者が指定口座に振り込む形です。納税が確認されると貨物の引取りが可能になります。ここまでが一連の通関手続きです。輸入許可通知書には品目ごとの確定関税額・消費税額が記載されていますので、社内の記録として保管します(5年間の書類保存義務があります)。

  5. 事後対応・経理処理:輸入品を販売する際には、支払った輸入消費税は仕入税額控除の対象となります。経理部門には輸入ごとの消費税額を伝え、適切に消費税申告で控除しましょう(輸入消費税は国内課税仕入れと同様に扱われます)。また、輸入後に税関から事後調査の連絡が来ることがあります。これは輸入実績に基づいて申告が適正だったかチェックするものです。調査に備えて、インボイスや契約書、支払い記録など関連資料は整理・保存しておきます。

以上が主な輸入手続きの流れです。特にHSコードの選定と書類の正確な準備は、円滑な通関と適正納税の要です。「輸入手続きは税関に申告書を出すだけ」と思われがちですが、その前段階の調査と準備が成否を分けます。必要に応じて税関相談官やJETRO等の相談窓口を活用し、万全の準備を整えましょう。

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逆算課税のリスクと関税回避に関する注意点

最後に、不適切な申告や関税回避行為に対するリスクについて触れておきます。輸入において申告ミスや故意の過少申告があった場合、税関の事後調査等で発覚すると追徴課税(逆算課税)を受ける可能性があります。

日本の税関は毎年、一定割合の輸入者に対して事後調査を実施していますが、例えば2015年度には調査対象4,302社のうち69.2%に申告漏れが指摘され、追徴税額は約145億9,000万円に上りました。主な申告漏れ事例としては、「インボイスに記載のない買付手数料等の支払い漏れ」「差額関税制度を悪用するための虚偽申告」「無償提供された部品の未申告」「架空の低い価格による申告(いわゆるインボイス詐称による低価申告)」などが挙げられています。これらはいずれも関税法令違反となり、不足税額の徴収に加えて、状況次第では過少申告加算税や重加算税といったペナルティ的な附帯税(追徴課税)が課されます。加算税は悪質度に応じて本来の税額の10%~最大で35%(重加算税の場合)が上乗せされ、さらに関税法違反が故意と認められれば刑事罰の対象にもなり得ます。

関税の回避策として違法またはグレーな手段に手を染めることは、上記のような重大なリスクを伴います。例えば:

  • インボイス価格の過小設定:サプライヤーと示し合わせて実際より低い価格をインボイスに記載し関税評価額を下げる行為は、税関が疑義を抱いた場合、類似品の市場価格や輸入者の販売価格から逆算して本来の価格を算定(逆算課税方式)し直されます。結果的に不足税額を徴収され、悪質と判断されれば重加算税の対象です。「バレなければ得」ではなく高確率で発覚しますので絶対に避けるべきです。
  • HSコードの恣意的な変更:本来より関税率の低いHSコードに該当すると虚偽申告する行為も違反です。税関は貨物検査や書類審査で商品実態を把握するので、不適切な分類は指摘され追徴課税となります。専門知識がないまま自己判断で分類を誤るケースもありますが、その場合も不足額の追納は免れません。分類に迷ったら事前教示を利用するなど、正攻法で臨みましょう。
  • 原産地証明の誤用:EPAを適用するために、実は原産地要件を満たさないのに無理に原産地証明書を取得・提出するケースにも注意です。税関は協定適用貨物について原産地調査を行うことがあり、証明書の信ぴょう性や原料の産地まで照会されることがあります。要件不充足が判明すれば、免除されていた関税を遡って徴収される(さらに加算税対象)ことになりますし、輸出国当局にも通知される可能性があります。FTA特恵は正当に活用しましょう。
  • 迂回貿易による関税逃れ:第三国を経由させれば中国原産ではないと偽れるのでは、と考える向きもあります。しかし原産地規則上、単なる積み替えでは原産国は変わりませんし、税関は貨物の積出地や輸送ルートも把握しています。迂回による誤魔化しは困難であり、下手をすれば関税法違反として処罰対象となります。

これらの関税コンプライアンス違反を避けるためには、「最初から正しく申告し、正しく納税する」ことが一番の策です。日頃からインボイスの金額や取引条件を正確に反映し、曖昧な点があれば税関や通関業者に相談することが重要です。税関も事前相談には応じてくれますし、疑義がある場合は遠慮せず問い合わせて解決しましょう。また、輸入関連書類や社内記録は少なくとも5年間は保存し、事後調査に備えておく必要があります。これらを徹底していれば、万一調査が入っても慌てる必要はありませんし、結果的に健全なビジネスの信頼性確保にもつながります。

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まとめ

中国からの商品調達は魅力的ですが、関税や消費税といった見えにくいコストを把握することが成功の鍵です。本記事で解説したように、関税・輸入消費税の仕組みや計算方法を理解し、自社の扱う商品に適用される税率を事前に調べておきましょう。また、企業規模に応じた適切な関税管理体制を築き、利用可能なFTA/EPAで関税を最適化することも重要です。一方で、不適切な申告は後から大きなツケを払うリスクがあります。正しい手続きを踏み、必要な準備を怠らずに進めれば、関税コストはコントロール可能です。ぜひ本記事の内容を実務に役立てていただき、健全かつ効率的な中国からの輸入ビジネスを展開してください。

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