【保存版】中国輸入の禁止品・規制品の一覧と税関申告の流れ
中国からの輸入規制や手続きに関するご相談は、
1. 輸入禁止品(絶対輸入不可)
関税法などに基づき、日本への輸入が厳しく禁止されている品目です。輸入しようとすると、貨物は没収され、輸入者には重い罰則が科されます。輸入者自身が意図せず禁止品を輸入した場合でも、規制対象となります。内容物の確認は徹底してください。
| カテゴリ | 具体的な例 | 根拠となる主な法律 |
|---|---|---|
| 麻薬・向精神薬等 | あらゆる種類の麻薬、大麻、覚せい剤、指定薬物など | 関税法、麻薬及び向精神薬取締法、大麻取締法など |
| 銃器・武器 | けん銃、小銃、機関銃、これらの部品、弾薬、およびその模造品 | 関税法、銃刀法 |
| わいせつ物 | 公の秩序または善良の風俗を害する書籍、図画、その他の物品 | 関税法 |
| 偽造品・侵害品 | 偽ブランド品、偽造通貨、IPR(知的財産権)を侵害する物品(後述) | 関税法、商標法、著作権法 |
| 家畜の伝染病媒介物 | 特定の肉製品、動物の病原体など、伝染病を媒介するおそれのあるもの | 家畜伝染病予防法 |
2. 輸入規制品(手続きが必要な品目)
これらの品目は、特定の日本の法令に基づき、輸入許可証や届出書の提出、または技術基準のクリアが義務付けられています。
A. 食品・食器・台所用品(食品衛生法)
口に入るもの、または口に触れる可能性のあるもの全てが対象です。
- 規制対象: 食品、飲料、添加物、サプリメント、調理器具、食器、乳幼児が触れるおもちゃの一部など。
- 必要な手続き: 輸入前に検疫所へ「食品等輸入届出書」を提出し、審査・検査を受ける必要があります。
B. 化粧品・医薬品・医療機器(薬機法)
人の身体に直接影響を与える可能性がある製品です。
- 規制対象: 化粧品(石鹸、シャンプー、美容液など)、医薬品、医療機器(マッサージ器、体温計など)。
- 必要な手続き: 商業輸入には、事業形態に応じた製造販売業許可や、輸入ごとの届出・承認が必要です。
C. 電気用品(電気用品安全法 – PSEマーク)
コンセントに接続して使用する電気製品は、日本国内での販売にあたりPSEマークの表示が必須です。
- 規制対象: ACアダプタ、照明器具、扇風機、モバイルバッテリーなど、日本のコンセントに接続するほぼ全ての電気製品(特定電気用品、特定電気用品以外の電気用品)。
- 必要な手続き: 登録検査機関による適合性検査、技術基準への適合、輸入事業者の届出、PSEマークの表示。
D. 無線機器(電波法 – 技適マーク)
BluetoothやWi-Fiなど、電波を発する全ての製品は、日本の技術基準適合証明(技適マーク)が必要です。
- 規制対象: Bluetoothイヤホン/スピーカー、Wi-Fiルーター、ワイヤレスマウス、ドローン、特定小電力トランシーバー、RFリモコンなど。
- 必要な手続き: 指定された登録証明機関による技術基準適合証明を受け、製品に技適マークを表示すること。これが無い製品を国内で販売・使用することは電波法違反となります。
E. 表示義務(家庭用品品質表示法・PL法)
消費者が適切な選択と安全な利用を行うための情報提供と、製品欠陥による事故リスク管理のための法規です。
- 家庭用品品質表示法: 繊維製品、合成樹脂加工品、電気機器など、特定の家庭用品について、素材、使用方法、性能などを正確に表示することが義務付けられています。
- 表示責任/PL法(製造物責任法): 輸入事業者は、国内の製造者と同様に、製品の欠陥により消費者に損害を与えた場合の責任(製造物責任)を負います。製品本体や取扱説明書に適切な警告表示や注意書きを付すことがリスク管理上必須です。
F. 動植物検疫関連
輸入動物や植物には、日本国内の農畜産業を守るため検疫が必要です。
- 規制対象: 生きた動物、肉製品、果物、野菜、穀物、木材など。
- 必要な手続き: 動物検疫所または植物防疫所による検査と証明書の提出。
3. 輸入禁止品と輸入規制品の決定的な違い
輸入禁止品と輸入規制品の二つの区分は、輸入ビジネスにおけるリスクと対処法が根本的に異なります。
| 区分 | 輸入の可否 | 主な目的 | 違反時のリスク |
|---|---|---|---|
| 禁止品(セクション2) | 絶対不可 | 社会秩序、公衆衛生、国家安全の保護 | 貨物の没収、重い罰則(刑事罰の可能性) |
| 規制品(セクション3) | 条件付きで可能 | 消費者の安全・健康、国内産業・検疫の保護 | 貨物の留め置き、行政指導、改善・検査費用の発生 |
4. 税関申告の流れと必要書類
輸入の可否とコストを決定する最も重要なプロセスです。HSコードの特定から関税・消費税の納付まで、定められた7つのステップと必要書類を正確に把握することが必須です。
輸入手続きは、税関に輸入申告を行い、許可を得ることで完了します。正確な手続きと書類準備が円滑な通関の鍵となります。
申告から輸入許可までの流れ(7ステップ)
| ステップ | 詳細内容と目的 |
|---|---|
| 1. 品目特定とHSコードの仮決め | 輸入税率と所管法を紐づける起点。貨物の材質、用途、形状を正確に特定し、HSコード(統計品目番号)を仮決定します。これにより、適用される関税率と、後続の規制法規の要否が確認できます。 |
| 2. 規制確認(法令の要否) | 仮決めしたHSコードに基づき、貨物が日本のどの規制(食品衛生法、薬機法、PSE、電波法(技適マーク)、検疫など)に該当するかを確認します。該当する場合、この時点で必要な許認可や検査手続きを完了させます。 |
| 3. 必要書類の準備と通関業者への依頼 | 申告に必要な商業書類と、ステップ2で取得した許認可証等の法令関連書類をすべて揃え、通関業者へ提出(または自社でNACCSにて申告準備)。 |
| 4. 輸入申告(NACCS) | 通関業者が税関へ「輸入(納税)申告書」を提出します。 |
| 5. 審査・検査 | 税関が申告内容と添付書類を審査。必要と判断された場合、貨物の内容と申告の整合性を確認するための現品検査が実施されます。規制品については、法令担当部署(検疫所など)の検査・審査が行われます。 |
| 6. 関税・消費税・立替手数料の納付 | 審査・検査クリア後、確定した関税額と消費税額、および通関業者の立替手数料や通関料を納付します。 |
| 7. 輸入許可(輸入許可通知)→引き取り | 納税を確認後、税関から輸入許可通知が発行されます。これにより貨物は保税地域から引き取り可能となり、国内流通が可能になります。 |
関税・消費税の計算の考え方
関税と輸入消費税は、以下の計算式に基づき算出されます。
- 課税価格の決定:
課税価格 = CIF価格(Costa + Insurance + Freight) + 加算要素
(商品の価格に、保険料や運賃、その他の費用を加えたもの。中国からの輸入では原則として運賃・保険料込みの価格が基になります。) - 関税額の算出:
関税額 = 課税価格 × HSコードに基づく関税率
- 輸入消費税額の算出:
消費税額 = (課税価格 + 関税額) × 消費税率(国税7.8%、地方税2.2%、合計10%)
注: 2025年現在、輸入消費税の税率は合計10%です。
その他費用: 上記に加え、通関業者への通関手数料、関税・消費税の立替手数料、保税倉庫の保管料、検査費用などが別途発生します。
申告に必要な主要書類
| 書類分類 | 書類名 | 目的/備考 |
|---|---|---|
| 商業書類 | Commercial Invoice(商業送り状) | 価格、数量、取引条件の証明 |
| 商業書類 | Packing List(梱包明細書) | 貨物内容と重量・容積の証明 |
| 商業書類 | B/L(船荷証券)/ AWB(航空貨物運送状) | 貨物の運送契約と受取の証明 |
| 特定書類 | 原産地証明書 | 特恵関税(EPA/FTA等)の適用を受ける場合 |
| 特定書類 | 保険証券/保険付保証明書 | CIF価格の算定に必要 |
| 法令関連書類 | 食品等輸入届出書 | 食品衛生法該当品 |
| 法令関連書類 | 適合性検査証明書(PSE/技適) | 電気用品安全法(PSE)、電波法(技適)該当品 |
| 法令関連書類 | 輸入承認書/輸入許可証 | 薬機法(医療機器等)や外為法(戦略物資)等で必要となる場合 |
| 法令関連書類 | 検疫証明書 | 動植物検疫が必要な貨物 |
5. IPR(知的財産権)侵害品の取締り
中国輸入ビジネスにおいて、最も深刻なリスクの一つがIPR(知的財産権)侵害品の輸入です。
模倣品・偽ブランド品
- 対象: 有名ブランドのロゴやデザインを無断で使用した偽造品(アパレル、バッグ、時計など)、キャラクターの著作権を侵害した商品。
- リスク: 税関で侵害品と認定された場合、輸入は差し止め・没収されます。輸入者が故意でなかったとしても、ブランド権利者から損害賠償請求を受けたり、関税法違反として刑事罰の対象となる可能性があります。
- 対策:
- 仕入れ時にブランドの公式代理店または信頼できるサプライヤーからのみ購入する。
- 商品名、パッケージ、価格が不自然でないか、入念にチェックする。
- 販売する前に、類似商品やデザインがないか、特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)などで簡易調査を行う。
6. 主要な規制法規と公式情報源
規制は頻繁に更新されるため、必ず公式情報を確認してください。
| 規制機関・法規 | 概要 | 公式ウェブサイト(日本語) |
|---|---|---|
| 日本 税関(財務省) | 輸入禁止・規制品目、IPR保護など、輸入全般の基本情報です。 | 税関 Japan Customs |
| 厚生労働省 検疫所 | 食品、食器、器具などの食品衛生法、薬機法関連(医薬品・化粧品)。 | 検疫所 FORTH |
| 経済産業省 (METI) | 電気用品安全法(PSE)、家庭用品品質表示法、製造物責任法(PL法)。 | 経済産業省 METI |
| 総務省 電波法 | 無線機器の技術基準適合(技適マーク)。 | 総務省 電波利用ホームページ |
| 特許庁(J-PlatPat) | 商標、特許、意匠などのIPR検索。 | 特許情報プラットフォーム J-PlatPat |
| 中華人民共和国海関総署 (GACC) | 中国側の輸出入規制(中国語)。 | 中华人民共和国海关総署 |
7. まとめとビジネスへの提言
中国輸入ビジネスを継続的に成功させる鍵は、「知らない」ことを言い訳にしない姿勢です。
- 事前確認の徹底: 輸入を検討する段階で、それが日本のどの法律(電波法、家庭用品品質表示法、PL法など)に該当するかを特定し、必要な許可や検査の有無を明確にしてください。
- サプライヤーとの連携: サプライヤーに対し、日本の規制基準(例:食品グレード素材の使用、技適認証に必要な検査データの提供など)を具体的に伝え、協力を仰いでください。
- 専門家への相談: 不安な点がある場合は、行政書士、通関業者、または輸入代行業者など、輸入規制に詳しい専門家に相談することを強く推奨します。
法令遵守はコストではなく、長期的な信頼とビジネスの安定性を確保するための投資です。このガイドが、お客様の中国輸入ビジネスの安全かつ円滑な運営の一助となれば幸いです。
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